雅なお時間　～社名～

テラス。
 
シェードアンブレラ日除け傘の下に、
優雅ゆうがな振る舞いの女性二人。
 
「西園寺さいおんじさん」
「何です、十文字じゅうもんじさん？」
 
「ご存知ぞんじかしら？」
「何かしら？」
 
「世の中の、
　社名に意味があるのはご存知かしら？」
「どういうことかしら？」
 
「UCCはご存知かしら？」
「それはコーヒーメーカーの老舗しにせですわね。
　上島珈琲カンパニーの略かしら？」
 
「西園寺さん、流石さすがですわ」
「当然かしら」
 
「ブリジストンはご存知かしら？」
「それは日本のタイヤメーカーですわね。
　創業者の石橋ストーンブリッジさんの英語表記かしら？」
 
「またまた流石です、西園寺さん」
「当然ですわ」
 
「ではUHA味覚糖の、
　UHAの意味はご存知かしら？」
「ネッシーのことかしら？」
 
「それは恐らくUMAユーマのことかしら？
　未確認生物を取り扱ってる会社には、
　見えませんけど」
「ぷっちょカブラ」
 
「それはチュパカブラのことかしら？
　味覚糖の看板商品を、
　そんないじり方してはいけませんわ。
　正解は、
　ユニークヒューマンアドベンチャーですわ」
「一瞬、ドラゴンボールの歌が、
　思い浮かびましたわ」
 
「……」
「……」
 
「西園寺さんは知見が広うございますわね」
「それはどうかしら」
 
「……」
「……」
 
「昨日、石川県のお知り合いから頂いた、
　ルビーロマン高級ブドウのお味はどうかしら？」
「これはとても美味しゅうございます。
　特にこのプチプチという食感が、
　何とも言えませんわ」
 
「西園寺さん。
　それはルビーロマンではなく、
　UHA味覚糖コロロ、
　ルビーロマン味ですわ」
「十文字さん。
　またあなたに、してやられましたわ」
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。