人は見かけではない
前回はこちら。
ナンマイダーカードの裏機能で、
不倫が発覚してしまったアナウンサー。
その一部始終を、
テレビで見ていた女性。
「うわ~あの人、
不倫してたんだ~!
真面目そうで見えたのに~。
よくゴミ出しで顔合わせたけど、
テレビに出てる人とは思えないほど、
感じの良い挨拶する人だと思ってたのに。
でも酷い!
奥さん、仕事しながら、
お子さんの面倒一生懸命見てたわよ。
地域のイベントにも、
積極的に参加されてたし。
ことあるごとに食べきれないからって、
お子さんにどうぞって、
お菓子とか持ってきてくれたり…。
あんな気が利く、良い奥さんなのに…。
何か色々思い出したら、
腹立ってきた!
直接、文句言ってやるわ!!
善人面して家族を裏切るなんて、
絶対許せないんだから!!
奥さんからもらった名産品の数だけ、
抗議するから覚悟しなさい!!
この、三叉不倫旦那め!!」
私は旦那さんのSNSに、
抗議のDMを送った。
ピンポーン!
「誰かしら?
はーーい」
ガチャ
「どうも、こんにちわ」
「あら~宮本さ~ん。
どうしたんですか急に?
旦那さんのニュース見ましたよ。
大変だったでしょう~。
心中お察しします~」
「心配して下さって、
ありがとうございます。
そんな佐藤さんに、
折り入ってお願いがあるんです」
「私にですか?
宮本さんが私にお願いなんて。
私ができることでしたら是非」
「ありがとうございます。
佐藤さんならそう言って下さると、
思ってましたわ。
でしたら今晩お時間あります?」
「今晩ですか?
まあ、夕食が済んでしまえば、
今日はお洗濯も終わってるので」
「でしたら8時に、
うちに来て下さらない?」
「8時にですか?
いいですよ」
「では、その時間にお待ちしてますわ。
特に何も必要ないので、
手ぶらで来て下さいね」
「そ、そうですか。
わかりました」
「では、失礼します」
ガチャ
「何だろう?
お茶会じゃないよね?
…あれ?
そう言えば…さっきの生放送で旦那さん、
家に帰ってから謝罪するって、
言ってなかった?
これってもしかして…
修羅場に居合わせるんじゃない私?!
いやいや、それはないわよ。
もしそうだとしても私を呼ぶってことは、
まあせいぜい文句を言って、
相手に謝罪と反省を促すぐらいだよね?
離婚話はないわよね…?
だったら呼ぶのは私じゃなく、
弁護士さんよね?
そこまではないよね?
ちょっと心もとないから、
隣に居て欲しいってことよね?
ちょっと佐藤さんもひと言、
言ってやって下さる…ってぐらいよね?
大丈夫じゃない?
それぐらいなら。
別に心配することないわよ。
よし!
じゃあ、今日来ていく服選ぼ。
何にしようかな~」
夜8時。
宮本家リビング。
長いテーブル。
真ん中にはご夫婦…
アナウンサーの宮本賢二さん。
その横に奥様の宮本美智留さん。
その横に私が座っている。
その私の隣には、
奥さんと仲が良いお友達が3人。
「みなさんも、
急にお呼ばれしたんですか?」
「あっ、はぃ…」
「まあ、はぁ…」
「そんな…感じです…」
(みんなちょっと、
迷惑そうな顔をしていた。
それもそうだこの状況では…)
私たちの後ろには大きく、
【緊急生会見 宮本賢二不倫問題】
目の前には配信用のカメラとモニター。
そのモニターに私も映っている。
卓上ネームスタンドに私の名前が…。
友人代表 佐藤瑞希
(私…確かに旦那さんに、
ひと言いいたいって思ったけど、
こんなことになるなんて聞いてない)
「司会の方がまだ来られてませんが、
時間なので始めましょう。
私の旦那こと宮本賢二の不倫問題。
まずここではテレビの生放送では、
はっきりしなかった部分を、
ここで明確にしてもらいます!」
(怖い!
宮本さんの奥さん、マジ怖い!)
ガチャ
「あっ、遅れてすいません。
西田法律事務所の西田春貴です。
よろしくお願いします」
(離婚確定じゃん!
そして私のいる意味?!
私は何をさせられるの?!
あれ?
ちょっと待って…。
私の隣の3人って、
ずっと青い顔でうつむいてるけど…)
モニターをもう一度よく見る。
浮気相手001 太田架純
浮気相手002 高木杏奈
浮気相手003 高橋さとみ
「司会をします弁護士の西田です。
この度、うちの独自調査で、
不倫相手の御三方にも同席して貰いました。
ではお話を進めさせて頂きます」
(まさか!発覚したのさっきだよ!
あっ!
ナンマイダーカード!!
あれって、情報全て把握してるの?!)
「佐藤さん」
「はいっ」
奥さんが話しかけてきた。
「実はね、ナンマイダーカードには、
別の機能もあってね…
私は以前からあなたとは気が合うと、
思っていたのよ。
だからここに呼んだの」
(別の機能って…
何?…)
「だから、ブチかまして欲しいの。
いつもみたいに…。
佐藤さん。
ひと言、言ってやって下さるかしら?」
(それってSNSの…
私が呼ばれた理由って…)