シチの病
会社。
デスクで仕事をしてる会社員。
「あ~暑い。
ラニーニャ現象なのかな~。
でもニュースでは、
エルニーニョ現象って言ってたよね?
でも今年は異常気象とも言ってたし…。
あれだ!
新しい現象ってこと?!
ラニーニャ、エルニーニョの次は…、
ロナウジーニョ!!
ね?ね?どう?これどう?」
「あ~うっとうしい!
何がロナウジーニョだよ!
ブラジル代表が来るわけねえだろ!
て言うか居てもいいけど、
静かにしてくんない?
俺、いま仕事中だから」
「え~ずっと暇なんだも~。
もうあれから29日も経ったし、
色々あったけどあと1日じゃない?
私がここに居られるの」
「まあ六月病っていうくらいだから、
そうなんだろうね」
「何か冷た~い。
もうあと1日しか、
一緒に居られないんだよ?
私との別れが寂しくないの?」
「どこに病気と別れを惜しむ奴がいる?
むしろ喜ぶだろ、逆に」
「そんな~。
苦楽と寝床を共にしてきた
仲じゃな~い」
「止めろ!
いかがわしい言い方!
別に頼んで居てもらったわけじゃない!
そっちが勝手に居座ってんだろ!」
「!
そ、そんな…
そんな言い方って…あんまりよ…
こっちはあなたのことを…
こんなに心配して…」
「ご、ごめん。
ちょっと言い過ぎた…
俺も…」
「はい!引っかかった~!
超絶チョロい~!
3番テーブル、ドンペリ10本!
お願いしま~す!!」
「グァァ~!!腹立つ~!!
何なんだお前!!
いつになったら消えるんだよ!」
「え?」
「え?じゃねえよ!
6月頭からずっと居座って。
毎日毎日仕事の邪魔ばっかり!
お前は何がしたいんだ!!」
「何がしたいって、
私…病気ですから。
治れば消えますよ」
「治る?
どうやって?」
「さあ。
でも過去に何人か治った人いたけど…。
だから治りさえすれば私はお役御免です」
「その人達はどうやって治したんだよ」
「知りませんし、
知ってても教えませんよ。
病気が自分の退治の仕方なんて」
「まあそりゃそうだ…
え?ちょっと待って!
これ明日で30日じゃん」
「そうですよ」
「お前、明日も来るよね?」
「来ますね、たぶん。
でも明日は半ドンです」
「何で?」
「それは野暮用で…」
「野暮用って何だよ?」
「それは私用なので…内緒♪」
「お前、まさか…
資料整理じゃないだろうな?」
「ギクッ!!」
「その顔!やっぱり!!
お前、明日午後から資料まとめて、
来月からの奴と引き継ぎする気だろ!」
「ヤバい!
すいませ~ん。
私ここでドロ~ンしま~す!
ロナウジーニョのステップで!
シュ!シュ!シュ!シュ!シュ!シュ!」
「おい!!待て~~!
まさかこれって…
病み期じゃねえ?!」
この記事が参加している募集
お疲れ様でした。