花舞小枝

花見はしない。
 
この数年は忙しく、
心も時間にも余裕がなかった。
 
父の介護をするまでは、
訪問介護先のご近所に、
桜が綺麗な公園があった。
 
訪問先の利用者さんは、
とても明るく陽気な方。
 
夕方の訪問は、
必ず赤ら顔でお出迎え。
 
「もう飲んでるんですか？」
「飲んでる？ちっとも飲んでないよ」
 
そんな対話が挨拶代わり。
 
久しぶりの遠回り。
 
公園には当時と、
変わらぬ美しさで、
咲き乱れている桜。
 
そのお迎えのあの家は、
綺麗に更地になっていた。
 
今日はあの人が好きだった、
焼酎を飲みたい気分です。