見出し画像

子育ての権利と義務、社会福祉士が「おにぎり」で解説

お母さま、お父さま、子育てをされている方へ。


こんにちは。

名古屋で社会保障制度の調査代行をしている社会福祉士の稲山です。

咳が続き、学校を一週間休んだ息子。ズル休みを疑い続けた父親と、最後まで息子の体を心配し続けた母親。

そして一週間後、息子は元気に登校、夕食の時に楽しそうに学校のことを話してくれました。

#ごめんなさい。反省。なんで子どもの言うこと、やることが信じられない?




懲戒権


令和4年まで民法に親が自分の子どもを懲戒することができる「懲戒権」という規定がありました。

※懲戒・・不正・不当な行為に対して戒めの制裁を加えること。

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(懲戒)
第八百二十二条 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

e-gov 民法 令和4年9月1日 施行


民法は、ここでいう懲戒について具体的な方法は定めていません。しかし、最も詳細な民法注釈書である注釈民法は、その方法を次のように示しています。

「懲戒のためには、しかる・なぐる・ひねる・しばる・押入れに入れる・蔵に入れる・禁食せしめるなど適宣の手段を用いてよいであろう(以下、省略)」

注釈民法


こうした内容の「懲戒権」は、躾(しつけ)を名目とした虐待の擁護につながっているのではないかという指摘がありました。

そして令和4年12月に民法等の一部を改正する法律が成立、民法の改正が行われ、懲戒権に関する規定は削除、子の人格の尊重等という規定が追加されました。

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(子の人格の尊重等)
第八百二十一条 親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。

e-gov 民法 令和4年12月16日 施行





改正前も後も変わらない第八百二十条

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

e-gov 民法


一般的に「権利」と「義務」は相反する言葉です。

親権を行う者は、~権利を有す、なら分かる。

親権を行う者は、~義務を負う、も分かる。

親権を行う者は、~権利を有し、義務を負う、??





子育ての権利と義務、社会福祉士が「おにぎり」で解説



「おにぎり」を例に、子育ての権利と義務について考えてみました。


まず、あなたには「おにぎりを作って食べる権利」があります。自分の好きな具材(例えば、梅干し、鮭、昆布など)を選んで、楽しくおにぎりを握り、美味しくたべることができます。


一方で、権利(おにぎりを作って食べる)を楽しむためには、「米を炊く義務」があります。美味しいおにぎりを作るためには、お米をしっかり洗い、水加減を調節して炊かなければいけません。もしこの義務を怠ると、おにぎりはパサパサになったり、ぼそぼそになったりしてしまい、美味しく食べることはできません。


「子育て」における権利と義務も同様です。親には「美味しいおにぎりを作って、子どもに食べてもらい、その笑顔を見ることができる権利」があります。しかし、その権利を行使するためには、「米を炊く義務」を果たさなければいけません。つまり、親は子どもが喜ぶおにぎりを作るために、必要な準備をしなければならないのです。親が「今日は子どもに特別なおにぎりを作ってあげよう!」と思ったら、まずは米を炊くことからスタートです。


このように、おにぎりを通じて権利と義務の関係が見えてきます。おにぎりを作って美味しく食べる、そして子どもにも食べてもらって笑顔を見ることができる権利を楽しむためには、米を炊くという義務を果たさなければいけません。逆に、米を炊いたのにおにぎりを作らなければ、せっかくのおいしいご飯が無駄になってしまいます。





さいごに

(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。


再度、この条文を見てみると「なるほど、納得」となりませんか?私はなりました(笑)

私たちは権利と義務のバランスを取りながら社会生活を送っています。子育てにおいても権利と義務がバランスよく機能することで、子どもは安心して育ち、美味しいおにぎりを楽しむことができるということです。

義務を果たさなければ、権利の恩恵を受けることはできません。弊所は使える社会保障制度を探し、利用のサポートをする事務所です。簡単なようで大変難しい、義務の果たし方、そして権利の使い方をお伝えします。お困りの際はご遠慮なくご相談ください。


いいなと思ったら応援しよう!