そうだ。卒論を公開しよう。
もう20年近く前のこと
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ大好きだった私は
挑戦するファンタジー
〜『九年目の魔法』を中心に 〜
というテーマで大学の卒論を書いた。
『九年目の魔法』
それはDWJ作品の中でもとりわけファンに愛されている作品のひとつだと思う。
日本でダイアナ・ウィン・ジョーンズと言えば
やはりハウルの名前が挙がりがちだけれど(そしてハウルももちろんすごく面白いのだけれど)
1番好きな作品を選べと言われたら、私は迷わずこの作品を選ぶ。
色々な要素が多元的に組み込まれていて
特に日本人である私たちには簡単には理解しきれない部分のある作品ながら
それでも面白くて、グイグイ読まされてしまう、
「すごくおもしろかった」と「イマイチよくわかんなかった」が同居する、
そんな摩訶不思議な小説で、しかもこんな感想が出るくせに、純文学や小難しいSFではない。
ただただ良質な少女小説というのが
これ自体、まるで魔法にかかったような作品だと思う。
当時は参考にできるジョーンズについての先行論文もほとんどなく(特に日本国内では!)、
専門家でもない学部生が「好き」だけで描いた論文なので、色々と至らない部分があると思うのだけれど。
当時の私の精一杯で書いた文章を、せっかくなのでどこかに残しておこうかと思い立ち、ここに記しておくことにする。
(特に第4章は論が全然まとまってないなと、我ながら思っています…。勢い!)
と、ここまで書いておいて何だが
この論文自体は「九年目の魔法」の難解な部分を解き明かそうとするものではなく
なぜ私がこんなにもダイアナ・ウィン・ジョーンズという作家に魅力を感じ大好きなのか?その理由を、なんだかんだこねくり回しつつ論文っぽく記したものである。
実はこれを書く前年
所属していた文学系サークルで『九年目の魔法』の評論集を出しており
複数人の力を使って、その謎解き?もろもろも行っているのだが……
それはまた…別の話し……
その片鱗は論文内にも見られるのではないかと思うので
九年目の魔法の内容を整理したい、もっと理解したいと思う方にも多少は楽しんでいただけるのではないかと思う。
というか、そう願います!
論文という性質上、「九年目の魔法」及び、ジョーンズの他作品、またその他の比較対象とした作品のネタバレを含んだ部分がありますので
これより先を読まれる方はその点だけご承知おきください。
特に「魔女と暮らせば」と「デイルマーク王国史」「呪われた首輪の物語」は大ネタバレ注意です!!!
※他作品と比較して特徴を探っていくので、どうしても「こっちの作品と比べるとこういうとこが変わってて面白いよねぇ…」的な文章が多いですが、何卒ご了承ください。
比較対象の作品達にもそれぞれ良いところがたくさんがあるのは言わずもがな!