日記(石若駿20周年ワッツアップ祭りの個人的感想)

遅刻気味だけれど、これは20240902の日記です。

まず、この機会は私にとって全く新しい体験であったことを伝えておく必要があるだろう。私が久々に帰省した為、母が遊びに行こうと私を誘い出し向かった先がこの「祭り」である。よって主役である石若駿さんの演奏を聞いたことはあるものの、入場時点で出演者や楽曲に関する事前知識は0に等しかった。ただし、私は母の趣味を信頼していて、音楽が十二分に好きなのだから当然楽しみに決まっている。好奇心と素晴らしい音楽への期待感で入場した。

オープニングはAnswer to RememberによるATR Theme。中学と高校の部活動で得た頼りない音楽の知識と、「新世代ジャズ」と母から説明を受けたこと以外に頼れるものはなかった。その中でこの感動を説明する方法はあまり残されていないが、素直に述べるならば、私が体験した中で最も美しく意味のあるストレスだった。弾けるようなサックスと痺れるドラムが印象的で、命が芽吹くように華やかであるのに、今まで聴いたどの音楽よりも複雑且つ均衡の取れた音に溢れていた。音楽を全身で聴いているとき、1番熱く震えている心臓であり、その心臓を真っ先に揺らすのはドラムであった。震えて行き場を無くした熱量は感情となって眼球に伝わり、コンタクトレンズがズレるほどだった。

ここからは大分曖昧な感想になってしまう。残念ながら初めて聴いた私にとって、今夢中でSpotifyを漁っていても、あの衝撃的な記憶は完全に蘇らない。とっても悔しい。以降、特に印象的だった2曲について触れる。

恐らく、あの曲はCRCK/LCKSの低空で間違いないと思う。太陽光で少しぬるくなったプールの底に体を沈めると黒髪が揺らぐ、その頭皮の感覚のような、柔らかな歌詞が印象的だ。空を飛べない私たちは、飛べない代わりに高いビルから人を眺めたりする。ビル群はどんな植物よりも高く伸びていくが、この地球上で命と最も関係が薄いものだ。私達はこの東京のビル風を浴びて、何千もの硝子窓の反射光に目を眩ませて、一体何を思うのだろう。

嘘じゃないけど 本当でもないものを見せてあげる

「低空」 CRCK/LCK

私が衝撃を受けたのは、君島青空の˖嵐₊˚ˑ༄だ。恥ずかしながら、このライブを聴くまでは殆ど楽曲を知らなかった。終わった瞬間にSpotifyを開き、私の心に残り続けるこのリズムは何処にあるのかと探し回った。見つけた時は、それこそ美しい嵐に打たれるようだった。ギターと声の二色の音が擦れ合って滑り出す。その摩擦に呼応するように弾ける効果的な電子音。周りをぐるりと吸い込み気が済むと爪痕を残して消えていく、春の嵐の儚さには絶大な力がある、そんな気がした。

このまま肩で風切り駆けていこう
お願いよ
これ以上何もいらないから

「˖嵐₊˚ˑ༄」 君島大空

最後に一言。
一生記憶に残ると確信できるほどに、印象的な夜でした。この夜を境に、沢山聴きいて、また生の音を聴きに行きます。

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