慶應通信の科目履修計画の立て方(普通課程向け)
はじめに
先日、77期秋入学の合格発表がありましたね。
無事合格された皆様、おめでとうございます。特に法学部乙類は少数民族、普通課程となると更に希少なので、特に同胞の方は仲良くして頂けたら幸いです。
学費を振り込むと、程なくして学生証とテキスト等が届きます。出遅れずに学習を進めるためには、大学の学びに適応するため基本的なアカデミック・スキルズをまず身に付けることと、実効性ある履修計画を立てることが必要です。
アカデミック・スキルズに関してはリンク先の教養研究センターのサイトや書籍を読んでいただくのが一番として、履修計画といってもどう立てていけばいいか、よく分からない方も多いと思います。私もそうでした。
そこで、自身のケースを参考に、どういう点に留意して科目履修計画を立て、活用していくべきかを紹介してみたいと思います。
なお、科目履修計画のフォーマットは、義塾がサンプルのExcelファイルをkcc-channelで提供しています。簡素なものですが、多少手を加えれば実用上は十分なものが作れます。
自分にできる履修ペースを把握する
履修計画といっても、当初からいきなり卒業までの緻密な計画を立てるのは、はっきり言って無益です。最短4年という年月の間に計画の抜本的変更を迫るようなライフイベントが起きる可能性はかなり高いですし、普通課程の場合はまずレポート作成等の経験もないでしょうから、自分がどのくらいのペースで単位を取っていけそうか、正確に見積もることができないからです。
そこで勧めたいのが、初めての試験で「英語Ⅱ+3分野科目から1科目(数学のような『正答』のあるものではなく、文章で論じる課題のもの)」の受験・合格を最初の目標として、学習&レポート作成に取り掛かることです。
英語Ⅱは、英語科目の中で一番簡単であり、必修外国語を英語にする場合、是非最初に取り組むべき科目です。最初に2単位を取ることで、その後の学習の弾みにもなります。
また、レポートは外国語や自然科学分野の一部を除けば、大多数が長文での論述を求められます。そのため、最初に論述形式のレポートに取り組むことで、レポート作成に必要な期間の尺度を得られ、自分が四半期ごとに何単位くらい取れそうなのか、ある程度の精度で見積もることができるようになります。
この際、自分の興味や仕事に深い関連がある等の理由で、最初から豊富な予備知識がある科目は避けるべきでしょう。参考文献漁りも執筆もスムーズに進んでしまうので、サンプルケースにならない可能性があります。
当面の目標設定
何年計画で卒業を目指すかは人それぞれの事情があるかと思いますが、何年に設定するにせよ、当面の目標を「最短での卒業論文指導登録」に設定すべき(=入学から2年間、8回目の科目試験までの分で、3分野科目28単位+必修外国語科目6単位+専門教育科目7単位を取得)であると主張します。
その理由は、卒業論文指導登録により図書館の貸出利用が通年で可能になるためです。学習を開始してみると分かりますが、散歩がてら文献漁りに行けるような三田や日吉のド近所に住んでいるとか、一般利用可能な大学図書館が近くにあるとかでもない限り、これが可能か否かでレポート作成の効率にかなりの差が出ます。
遠方居住者だと恩恵はあまりないように思えますが、卒業論文指導登録によってメディアセンターへのリモートアクセスも可能となるため、電子ブック・電子ジャーナル・データベース等が自宅から閲覧できます。気軽にメディアセンターに行けずとも、これだけでもかなり便利です。卒業論文指導指導登録前だと学内NWからアクセスするしかありません。
また、最短での卒業と比べて、最短での卒業論文指導登録はそこまで厳しくない目標です。普通課程で最短卒業となると、1回の科目試験ごとに3科目8単位くらいが基本軸になってくるのに対して、最短での卒業論文指導登録を目指す場合は2科目4~6単位くらいにラインが下がります。
(当然、個々のワークスタイルによるものの)フルタイムで働きながら3科目の学習をこなすのは相当厳しいですが、2科目はサボらず習慣的な学習を継続できれば十分こなせる範囲です。
なお、これはスクーリングを1年目・2年目でそれぞれ1期分、合計8単位しか取れなかった場合を想定した数字なので、夏季を2期以上取ったり秋季を取ったりできれば、更に余裕が出ます。
履修を進めてみて四半期に2科目も無理そうな場合は、卒業論文指導登録までの期間を伸ばして、四半期毎の目標単位を引き下げると良いと思います。場合によっては更に中間目標を設定するのも有効でしょう。
スクーリングの計画的な活用
スクーリングはテキスト科目より単位取得が容易ですが、卒業単位に算入できるスクーリングの単位には上限があり、3分野科目で12単位まで、専門教育科目で28単位までとなっています。そのため、スクーリングで単位を稼ぎまくるということはできません。
特に3分野科目においては、「各分野2科目以上かつ6単位以上取得」という条件もありますので、スクーリングは自分の苦手な分野・科目の回避や、取りたいけどテキストでは負担が重いと思う科目、スクーリングでしか取れない科目を取るのに使うことを考えた方がいいと思います。
また、個人の都合や開講スケジュールとの兼ね合い、人気科目の抽選などもあって、完全に希望通りには取れないケースが多いでしょうから、履修計画は「スクーリングで何を取るか」をまず考えてから立てていくと、幅を限定できるため楽になります。
群被り回避&受験日集約で効率的な試験を
テキスト科目とメディア授業には、科目試験があります。各科目試験にはAからFまでの群が設定されており、同じ群の科目を一度の試験で同時に受験することはできません。
科目試験に落ちた場合、合格するまで又は放棄するまで受験し続けることになるため、これを見越して、同じ群の別の科目よりも、別の群の科目を先に履修する(同じ群の履修開始予定をなるべく遠くに設定する)ようにした方が無難です。そうして余裕を作っておけば、過去問非公開の科目をどんな問題が出るか威力偵察したり、ヤマを張って試行回数で勝負したりといった(いささか不真面目な)テクニックも使えます。
また、試験はA~C群で1日、別の日にD~F群が1日という日程になっています。前日の追い込みを重視しないならば、なるべく片方1日で終わるように履修する群の組み合わせを考えた方がいいと思います。移動費と移動時間が勿体ないので。
おわりに
履修計画は重要ですが、往々にしてその通りに行かないのが計画というものです。履修計画はあまり緻密に考えようとしないで、スコープは2年くらいにして適宜作成&修正していくのが実用的かと思います。
ただ、計画を修正するときは、変更前の計画と変更に至った要因を併せて記録しておいたほうがいいでしょう。
それらは、自身の学習を自己評価して、その後更に実効性ある計画を立てる上での貴重な教訓となるはずです。