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お月様とふたりで

眠れない一人の夜
テレビのチャンネルを変えても
どれもピンと来ない

面白かったはずのスマホの動画も
なんとなく見る気がしない

「なんか甘い物食べたいなぁ」

何かに導かれるかのように
コートを着て寒い夜に飛び出す私

私の足は近くのコンビニまで
行こうとしている

星がいつもより多く見える空
冷たい風に首元をコートで隠す

遠くの方で時々聞こえる
車の通る音
忙しかった昼間と違って
なんとなく落ち着く

カーテンの隙間から溢れる
ほんのりとした優しい光

どこかから漂うシャンプーの匂い

それぞれの家の温かさが
滲み出てちょっと寂しい

静まり返る住宅街に響き渡る
歩幅の狭い私の靴音

ふと空を見上げると
まん丸ではないけれど
満月に近いほぼ満月

小さい頃は月に向かって
「着いてこないで!」と言って
走って逃げてた

今は月に向かってささやく
「一緒に来てくれて、ありがとう」

さっきの寂しい気持ちが
少し薄くなったような気がした

冷たくて静かな夜に
お月様とふたりで散歩

ありふれた夜の
特別な時間

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