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ゆるっと、ほっこり読み物

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温かい気持ちになりたい時、優しさに包まれたい時におすすめです。
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2021年12月の記事一覧

優しかった時間

気分転換に林の脇を散歩していると 後ろの方から下手くそなウグイスの声 振り返ると、もう一度声がする 「ホーホケキョ」って口笛吹きながら ノロノロと自転車を漕ぐおじさんが 私を追い越してゆく さわやかな初夏の風が土の匂いを運んできた なんだか、とっても懐かしい感覚 ふと、子供の頃の風景がよみがえる 扇風機のブンブンっていう微かな音を聞きながら 太陽の下で遊びきった体を横たえると タオルをそっと掛けてくれた優しい手 あの時、優しい時間が私を包んでいた 道端に咲く赤い小さな花に

冬の向こう側に春が待っている

おみくじの結果が良くない ほとんど悪いことばかり せっかく神社に厄を払いに来たのに 余計に落ち込む どうしよう、このままだと 心が枯れてしまいそう 辛い時期が長すぎる 歯を食いしばりすぎてアゴが痛い おみくじを木に結んでいると 楽しそうな笑い声 結婚式の写真を撮っている 和装姿のカップルと友達たち 幸せそうで羨ましい 遠くから見つめながら こっそり幸せを分けてもらう ちょっとだけ足取りが軽い帰り道 道の端に生えてる木に 小さな新芽がいっぱい出てきてる あともう少しだけ

六つ葉のクローバー

ふと思い立って手に取った3年前の日記 この日記を見つけるたびに なんとなく目をそらしてきた うさぎが楽しそうに笑っている表紙 書いた中身とのギャップが切ない 久しぶりに思い切って開いてみる 挟んだまま忘れられてた 六つ葉のクローバーが足元に落ちる そっと手のひらに置くと あの頃のたくさんの記憶が 次々と私に覆いかかり あの頃の自分が鮮やかによみがえる 悲しくて苦しい毎日に絶望し 必死にもがいているのに 誰にも話すことができなくて 平気なふりしてヘラヘラしてたあの頃 やっ

朝の7時はハムエッグの香り、夜の7時は煮物の香り

朝の7時、散歩から帰ってくると 近所のどこからか漂う  ハムエッグの香り 母が作ってくれた朝ごはんを思い出す 当たり前だった日常の一部 今はもう食べられないのが ちょっと寂しい 夜の7時、買い物に行く途中に 老夫婦の家から漂う 煮物の香り ちょっと、しょっぱい 祖母の料理を思い出す 祖母の家に遊びに行った時のごちそう 今はもう食べられないけど なんだか、ほっこりする どっちも懐かしくて温かくて 大好きな香り

見えない所で頑張ってる人

周りの人から見える所で頑張ってる人は よく褒められる 見えない所で頑張ってる人は 認められなかったり、バカにされたり 自分達が心地よくいられるのは 見えない所で頑張ってる人のおかげなのに 見えない所で頑張ってる人に  気付かなかったり バカにしたりする人は 人の頑張りをいいとこ取りしたり 自分の頑張りをやたらと自慢したがる いわゆる嫌われるタイプ 見えない所で頑張ってる人を ちゃんと見てたり 褒めたり、感謝してくれる人は 皆んなから好かれる、いい人 私も見えない所で頑