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『担当者』に聞く"ジャパンインターナショナルボートショー2023"

執筆:高津こうづ みなと

例年より桜の開花宣言が早まった2023年、春、
日本のマリンレジャー市場も華やかにスタートを切りました。
マリンレジャーといえば夏を連想される方が多いと思いますが、私たち舶用機器メーカーやボートビルダーさんは春に新製品等を公開し、夏に向けて準備をしていきます。

その皮切りとなる一大イベントが"ジャパンインターナショナルボートショー(JIBS)"、日本最大規模のボートショーで多くの出展者と来場者が集います。
2023年は3月23日(木)から26日(日)の期間、パシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナを中心に開催されました。

室内展示場であるパシフィコ横浜
横浜ベイサイドマリーナ 残念ながら会期中は雨模様が続いた

フルノは自社ブースをパシフィコ横浜内に構えた他、ボートメーカーさんにもフルノ機器を実際に設置いただいて、パシフィコ横浜/横浜ベイサイドマリーナに展開しました。

実はこのボートショー、この記事の筆者である私にとっても重要なイベントでフルノブースの設計/デザインを担当。またボートショー初日に合わせてフルノのプレジャー総合カタログ2023をリリース。その制作担当も拝命していました。
まさに私にとっても一つの集大成となるイベントです。

華やかなブースの中で逆に洗練さを追求したFURUNOブース

最初にフルノブースを紹介いたします。
今年のテーマは"シンプルかつ洗練"

ボートショーのような展示会では数あるブースの中で自社のブースを目立たせるために一種の派手さが求められることもあります(過去フルノもド派手だったことも)。
しかし今回は敢えて自社名やロゴがドドンと掲げたり、カラフルな色使いはせずにブースを作りました。

なんとレーダーアンテナは全て5台、どこから見てもFURUNOロゴが目に入ります。

大きなFURUNOロゴがない代わりとしてフルノの代名詞であるレーダーを正面、左右に配置。海で船のレーダーを眺めるように、目線の少し上の方に青いレーダーがあることでフルノの印象を高めることを意識しています。

ボートショーで国内お披露目となった新製品の魚群探知機 FCV-600/800

中央には新製品である魚群探知機"FCV-600/800"を配置。製品の解説パネルや設置台をライトアップすることで他の製品より目を引く展示になっているかと思います。
またレッドカーペットならぬブルーカーペットやブース中央に間接照明で淡く光るフルノロゴを配置することで舶用機器メーカーとして洗練された雰囲気をイメージしました。

縦置きの画面も縦長のレーダー画面とリンクして印象に残ると高評価

今回、シンプルかつ開放感のあるブースになったおかげか、4日間の会期の間、本当にたくさんの方々にご来場いただいたと実感しています。
ブースに誰もいない状況はほぼなく、フルノスタッフが常にどなたかを接客しているような、そんな充実した展示会となりました。

ですが、ボートショーの傾向として土日にはお子さん連れのファミリーが増えるのに対して、去年開催したクイズ企画など、お子さんにも楽しんでいただける企画が継続できなかったのが勿体なかったなとも感じています。
「もっともっと多くの方に楽しんでいただけるブースに!」を念頭に来年も挑みたいと思います。

多くの来場者にフルノブースを訪問いただきました。嬉しい!
マイルくんも沢山の方に可愛がってもらいましたね。

ボートショー運営初担当の営業マン、手探りで奮闘した6ヶ月を振り返る

そして今回のボートショーへの出展にあたり、欠かせないキーマンがこの方。フルノのボートショー運営を担当された角西かどにし 哲朗さん。
ブースデザイン/カタログ制作を担当した私とタッグを組んで2022年9月からボートショーに向けて企画・準備を進めてきました。

ここからは角西さんとの対談方式でお話したいと思います。

業務外のあだ名は後輩たちからは親しみを込めて角兄かどにぃと呼ばれています。

角西さんは昨年9月、神戸営業所から本社の国内営業部門に異動され、いきなりボートショーを担当することとなりました。
ボートショーが無事に終了した今、初担当の感想を振り返っていただきました。

角西さん「私は2009年入社で、最初は四国の営業所で勤務していました。香川や徳島はプレジャーボートも多く、近隣の展示会にも都度参加していましたので、展示会での接客の経験は多い方だと思います。
ですがJIBSは過去一度しか参加できていませんでしたし、企画側でボートショーを担当するのは初めてだったので最初は不安が多かったですね。」

ー 経験があっても不安の方が大きかったんですね。

角西さん「というのも昨年度までJIBSを担当されていた杉本さんという大ベテランが引退されたことが要因のひとつですね。引き継ぎもいただきましたし、これまでの経験でボートショーに向けてやるべきことは分かっていましたが、異動直後で他部門との繋がりがほとんどない状態
どこまでスムーズに準備を進められるかが心配事項でした。」

ー 具体的に社内外でどのような動きをされたんでしょうか。

角西さん「まずはJIBSを主催しているマリン事業協会さまとの事務的なやりとりですね。これは引継ぎのおかげでスムーズに出来たと思います。

考えることが多かったのはやはり社内のやりとりでしょうか。ボートショーに向けてそれこそ高津さんの宣伝部門、展示機器の調整として開発部門、他にも多くの他部門との関わりを密にして準備を進めていかなくてはいけません。

最初はそれこそ、ベテランから初担当に変わって『頼りない』と思われないようにしようと気張っていましたが、他部門の方々みんなが優しく丁寧に対応してくださって本当に感謝していますね。

特にこれまで営業として現場で仕事をしていたので、本社の開発部門とは製品開発の納期や要求などのやり取りが多く、時には営業部門として毅然とした態度を取ることもありました。
しかし展示機器のデモ映像など、私のこだわりにも色々と相談に乗っていただき、お忙しい中積極的に展示会に向けて協力いただきました。
その中で開発部門のしっかりとした製品知識、確かな技術力、これらを直近で実感できたことは今後の私にとっても有益なことだと感じています。」

新サービスについてももれなく解説する角西さん

ー 今回YANMARさんの展示艇にも多く機器を配置いただきましたね。

角西さん「そうですね。昨年度から引き続き、という形でしたが今年もコラボ展示が出来たことはとても有難いことですね。YANMARさんも事前に会社訪問させていただきましたし、展示機器も手配させてもらったので、実際にボートショーで展示艇を見た時は誇らしく感じましたね。」

YANMARさんの展示艇に設置されたFURUNO製レーダー
操縦席にはFURUNO製のディスプレイが2台
片方が3Dソナー、もう片方が暗視カメラ。カメラ映像にはFURUNOブースが映るコラボ

ボートショーでお披露目した2023年度カタログ、
営業の経験とこだわりを沢山詰め込みました

ボートショーに向けて制作されたプレジャー総合カタログ2023

ー ボートショー企画と同時にプレジャー総合カタログ2023の制作も始まりました。カタログを軸にブースデザインや展示内容を決めていきますが、それも初めての経験だったんじゃないでしょうか。

角西さん「そうですね。ただカタログを作り上げていく期間は『とても楽しかったな』という思い出が多いですね。
今回のカタログ、私は現場で使って役に立つ内容にしたいと考えていました。なので私からたくさんの要望を高津さんに伝えさせていただきました。ちゃんと高津さんが要望を理解してくれて、スピーディにデザインや構成に反映してくれるので感心しましたし、何より自分のこれまでの営業の経験が"製品を売ること以外"に有効活用されていることが嬉しかったです」

ー カタログのデザインとしては昨年度からマイナーチェンジですが、追加コンテンツが山盛りのカタログになりましたよね。

角西さん「こちらは要望を言うだけなんで無理な注文も多かったかなと(笑) 例えば今回プレジャーボート向けの魚群探知機がフルモデルチェンジしたことで送受波器(魚群探知機に接続して超音波を発射・受信する素子)と魚群探知機の組み合わせが従来から大きく変わりました。
このままでは現場が混乱するかも知れないと、あらゆる"魚群探知機 / 送受波器 組み合わせ一覧表"を作ってもらいましたが相当ヘビーな仕事だったんじゃないかなと思います。」

送受波器の種類、出力、周波数、型式と対応機種と機能が一覧表に(写真はその一部)。
展示会でも一覧表を用いて説明する姿も見られました

角西さん「他にもコラムなどの読み物があったり、営業所一覧もリニューアルされて内容が充実した実感があります。
おかげさまで展示会だけでなく、営業員が現場に持って行きたくなるカタログになったんじゃないでしょうか。」

ボートショー当日、次世代の成長を感じたフルノブース

ー いろんな準備をしてボートショー当日でしたが、どういう心境で横浜に入られましたか?

角西さん「そうですね。事前に全部の機器を接続してチェックもしましたし、ブースの企画・準備もしっかりやってきましたので、『これだけやったから絶対上手くいく』と確信はありましたね。
そして、デザインから相談して作り上げたフルノブースがイメージ通りに目の前に現れたときは結構感動しました。これまでの準備を思い返して感慨深いものもありましたよ。あと素直に『格好良いな』と感じました。」

ブルーと白のコントラストが映えているように感じます。

ー 角西さんはずっと展示会は『機器・ブースそして人で完成する』と言っていましたね。

角西さん「今回営業員だけでなく開発部門、企画部門を含めると述べ30名以上のスタッフがボートショーに集結しました。その多くが若いスタッフだったので、リーダーとして、先輩として、鼓舞する意味合いも込めて『人で完成する』ということを強調させていただきました。
私と高津さんで機器とブースは用意したから、あとは頼んだぞと。」

ー 実際フルノのスタッフは角西さんから見てどうでしたか?

角西さん「贔屓目なしに良かったと思います。自身も入社したての時は製品知識などに十分な自信がなかったことも覚えていますので、若いスタッフが勇気を持って積極的に来場者に声をかけて製品を説明している姿には目頭が熱くなりましたね。同時に歳をとったなと感じました(笑)」

機器のデモ、パネル+知識、経験をフル活用してお客様を接客
1人で数人をアテンドすることも
noteでお馴染みの社内アングラー、津島くんも魚探をアテンド

角西さん「元気よい子たちがハキハキとアテンドする様子はブースの格好良さともカチっとハマッたと思います。贔屓目なしにフルノブースはどこにも負けていない!という自負もありますね。」

来年も担当すると思うので次はもっと手際良くやりたいと熱量高めの角兄さん、実に頼り甲斐があるなと私は感じています。本当にお疲れ様でした。

今後も日本各地のマリーナなどでボートショーが開催され、フルノも出展しています。そしてまた来年、ジャパンインターナショナルボートショー2024にも出展を予定しております。
ぜひ"海の音"を読んでくれている皆様にもどこかの機会にご来場いただけますと幸いです。

プレジャー総合カタログはこちらhttps://www.furuno.com/files/Brochure/2/upload/GC2023_JP.pdf


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