図書館司書が「ミッケやウォーリーみたいな本はありますか?」とお子さんから訊かれた時にどうする?
こんばんは、古河なつみです。
今回は図書館司書をしていた時にたびたびお問い合わせを受けた「ミッケやウォーリーみたいに遊べる本はありますか?」という質問に回答する時、司書がどんな本を挙げるのかをご紹介したいと思います。
ちなみに、ミッケやウォーリーってどんな絵本?
最初に補足から入りますが「ウォーリー」シリーズは赤と白の縞々服が特徴的な青年・ウォーリー氏をぎっしりと人々が描かれたイラストの中から見つけ出す探し絵本シリーズです。
また「ミッケ!」シリーズは可愛らしくてミステリアスな雑貨やおもちゃが所狭しと並べられた実写の写真の中から「質問された物がどこにあるか」を見つけていく探し絵本です。
書き込みのリスクや耐久性の問題により、図書館が所蔵している遊べる絵本は種類が少ない傾向にあります。そんな中でも今まで私が勤めた図書館には「だいたい置いていたなぁ……」という鉄板ラインナップがありましたので、ここからその絵本をご紹介して参ります(※それぞれの自治体さん次第なので絶対にある!とは断言できない事だけご了承くださいませ)。
香川元太郎さんの「迷路絵本」シリーズ
スパイに奪われてしまったパーツを探しながら進もう! ……といった各作品で違ったミッションのある冒険ストーリーを読みながら迷路やクイズを楽しめる絵本シリーズです。発行部数もシリーズ累計300万部を突破しており、現在第20弾まで制作されている超人気作です。迷路の題材も「お化け」「昆虫」「忍者」といった様々なテーマがあるのでそれぞれのお子さんの興味のある分野に合わせて選べたのも司書的には助かりました。
五味太郎さんの「ゲーム・ブック」シリーズ
たくさんの絵本を手掛けている絵本作家・五味太郎さんによる「ゲーム・ブック」シリーズは第一作目が1998年に出版されました。そして今でも書店さんや通販サイトで新品が買える超ロングセラー遊び絵本です。
まるっとしたフォルムが可愛いキャラクター達が描かれており、迷路や同じものをさがしてみよう!といったゲームが掲載されています。第六作まで出版されていて、ナンバリングが進むごとに難易度が少しずつ上がっている印象です。数をかぞえるクイズなど、幼稚園・保育園くらいのお子さんには歯ごたえのある内容になっているかと思います。
安野光雅さんの「はじめてであうすうがくの絵本」シリーズ
この絵本も1982年とずいぶん昔に出版されており、現在でも新品が購入できる超ロングセラーの絵本です。タイトルが「すうがくの絵本」となっていますが「なかまはずれ」のものを探したり、イラストを見比べて「違い」を発見してみたり……五味さんの『ゲーム・ブック』よりも対象年齢は上となりますが、小学校低学年向けのクイズ形式になっています。お勉強の本のカテゴリではありますが、遊び絵本としても十分楽しめる造りです。落ち着いた美しいイラストもあいまって、全三巻セットが小学校の入学祝などのプレゼントとしても活用されたりしています。
しらすにいるモンスター!?『チリメンモンスターをさがせ!』
突然ですが、しらすを食べている時に「あれっ?他の生き物も混じってない?」と思った事はないでしょうか。真っ白なしらす(ちりめん)の中にぽつんといるカニっぽいもの、エビっぽいもの……それらを特定していきながら海の小さな生き物たちに詳しくなれる探し絵本です。レア度も掲載されていて、実際に食事をする時にも「これ珍しいヤツだ!」と嬉しくなれたり、図鑑カードがついていたりと子供心をくすぐる造りをしています。
佐藤雅彦さん・ユーフラテスさんの「かがくのとも絵本」3冊
こちらの佐藤雅彦さんとユーフラテスさんの共著である『このあいだに、なにがあった?』『なにかがいる』『中をそうぞうしてみよ』といった写真で構成された「かがくのとも絵本」シリーズの作品群もクイズのような楽しさがあります。反面、「物事の因果関係」がはっきり分からないとなかなか面白さが伝わらない造りになっており、そうなると対象年齢が上のお子さんになるのにちょっとページ数が少ない印象なので、司書時代は三冊まとめて渡すという物量作戦に出る事がしばしばありました(笑)
今回のご紹介は以上になります。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
それでは、またの夜に。
古河なつみ
まずはお近くの図書館や本屋さんをぐるっと回ってみてください。あなたが本と出会える機会を得る事が私のなによりの喜びであり、活動のサポートです。