ウェブデザイナーだった私が古道具屋を始めた理由 -バックボーン偏-
制作会社でウェブデザイナーとして働いていた私は、実は特に古道具好きではありませんでした。
古道具屋を営んでいる人は、もともと古道具フリークで集めていたり、蚤の市や骨董市があれば出かけたりしているような人で、古道具好きが高じてお店を始める人が多いです。
けれども私の場合は、古道具なんて集めてもいなかったし、蚤の市なんて出かけたこともありませんでした。たまにおしゃれなマルシェで古道具屋さんがあると楽しく見てたぐらいです。
そんな程度の人だったので、古道具屋をやりたいと思ったこともありませんでした。制作会社でデザイナーとして働いていたので、このまま企業でデザイン関連の仕事を続けていくと思ってました。
ところが、ある時突然古道具屋をやることを決めました。
古道具フリークでもなければ、集めてもいなかったので、古道具の知識なんてほぼない。でも、なんとかできるだろうという、自信はありました。
その理由の一つとして、私の場合、実家の環境的に幼少期から古いものと接触する機会があったからです。機会があるというよりも、今考えれば、自ら古いものへと接触を試みていたんだと思います。何の片鱗もなくて、さすがに古道具屋なんていう辺鄙な商売なんてやってないですし。
今回はその幼少期からの古道具屋になるための片鱗が見えるお話をしたいと思います。
小さな頃からインテリアがとにかく好きだった
古いものが好きだったわけではないのですが、とにかく私の場合は、小さい頃からインテリアが好きな子でした。
幼稚園から小学校にあがった時に自分の部屋を持たせてもらったのですが、その時から私は、部屋のインテリアを変えたり、自分の好きなようにすることが趣味になりました。
リフォームやお部屋改造などの特集の雑誌やテレビ番組があると、かじりついて見てました。
そしていつも「理想の部屋」をお絵描き帳に描いてにやにやしてるような子でした。
実家の自分の部屋の改造もよくしていました。
私の実家は特にお洒落な家ではありませんでしたので、自分の手で改造しなければ、自分の理想は手に入りませんでした。
小学校の頃から部屋をいじりはじめ、中学校に入るとカーテンを自作し、DIYで家具を作り、部屋の壁にペンキを塗り、床まで張替えしてました。
中学校ぐらいになると女の子はファッションにお金をかけ始めますが、私は服よりもインテリアのほうが重要で、お金を使うならインテリアのために使っていました。
それぐらいインテリアが大好きでした。
実家に建っていた明治時代のからの古い家
自分の部屋を改造していく中で、勉強机を変えた事があります。
親から買い与えてもらった学習机(サンリオのキキララシリーズのもの)がずっと気に入らなくて、変えたいと思ってたのですが、代わりに見つけたのが、実家に建っていた古い家に置いてあった、古い木製の机でした。
今は解体してしまってありませんが、10年ほど前は私の実家には明治初期からの古い家が建っていました。住居用の家は別であったので、この古い家は倉庫になってました。
私は小さいな頃からこの明治時代からの家を漁るのが好きで、家族はあまりこの家に関心がなかったのですが、冒険心と何か宝が埋もれてるのではという期待を抱いて、飽きずに何度もこの家に入っては、レトログッズやら母親の若い頃の服などを持って来て楽しんでいました。
今思えば、この行動は古道具屋の買付と同じです。
例え自分の家でも古い家の中や領域を探検したり漁るという行為は、普通の人はしないですからね…
こんな事を小さな頃からやってるという時点で、この仕事をするべき人間だったんだなと感じます 笑
この古い家の中で埃をかぶった小ぶりなサイズの袖のない木製の机を見つけました。
(この机可愛い気がする…試しにこの机を勉強机にしてみよう)
と思い、引っ張り出して、代わりに買ってもらった学習机を古い家に押し込みました。
それを一部始終見ていた親は呆れてました 笑
10万以上もする豪華な学習机セットを娘のために買ってあげたのに、その娘はそれらを全部捨てて、代わりに物置に置いてあった埃にまみれた古い机を勉強机に選んでしまったのですから。
その古い机は、無垢材で作られた質感と、すっきりとしたデザインで、存在感の良さにとても気に入りました。
親から買ってもらった学習机は高価なものでしたが、プリント化粧板と集成材で出来たものです。そして子供用の机なのに何故か重厚で無駄に大きい。
子供ながらに安っぽいテクスチャとデザインがどうしても気に入らなかったのです。
まだ子供でお金がなかったので、家具屋で机を買うようなお金もなかったので机をどうしようかと思ってましたが、まさか自分の家に理想の机が埋もれているなんて思いもしませんでした。
自然と古い家具をインテリアに取り入れていた
これを機に、私は実家の古い家具を活用する事に目覚め、実家にあった古い家具を何個か一人暮らしを始めた時に持っていきました。
今でも店舗の什器として使用してますが、特にお気に入りだったのか縦型の木製ガラスケース。いわゆるパンケースというものです。
実家の祖父と祖母が昔自転車屋をやっていたのですが、ネジやら部品やら無造作に置かれていたケースでした。
ある時、机と同じように「このケース可愛くないだろうか…」と気づき始め、掃除して使ってみました。このガラスケースを、一人暮らしの部屋に置いたら映えること映えること。
自転車屋に置いてあった時は汚いケースにしか見えなかったのに、掃除して自分のインテリアと組み合わせるとこんなに可愛くなるのかと思いました。大のお気に入りの家具になりました。
上記写真の左下にあるケースです。
場所はキッチンです。築40年ほどの古いアパートに住んでました。
この頃もまだ特に古道具好きではなかったのですが、物件だけは明確に「古いほうがいい!」と思っていて、不動産情報サイトで私は築年数の古いものから探すことをしてました。
漆喰のような壁と木製建具がはまった貧乏学生が住むような木造アパートでしたが、見たときに理想の物件だ!と思い、ここを選びました。
ちなみに、15年ほど前のこの頃、私は20代前半で、手取り15万程度の超ブラックデザイン会社で働いていて、インテリアにお金はかけらなかったので、(ちなみにこのアパートの家賃は3万5千円)KitchenKitchenやニトリなどのプチプラアイテムで頑張ってました。
それでも自分の好きな箱に好きなものを置けるのがめちゃくちゃ楽しかったです。
ちょうどこの頃、近所にとてもセンスが良い手仕事系雑貨屋さんがありました。
そのお店が好きだったので良く行ってましたが、ある日このケースにそっくりのショーケースが置いてありました。
私の持ってるのと同じだ!と思って付いていた値札を見たらびっくり。
10万円もしました。
(え、あのケース売ると10万円もするの?)
と驚いたと同時に
(やっぱり私見る目あったじゃん)
と。
それまでは自分の好みで古い家具を使っていただけでしたが、自分のチョイスは正解だったと証明された気分でした。
親からは「こんな汚い家具を」と呆れられてましたが、それからは自信を持って古い家具を使うようになりました。
こんな風に自然とインテリアに古い家具を取り入れてました。
でもそのおかげで、古い家具の良さが良く分かりました。新しい家具では出せない圧倒的な存在感と滲み出る良さが、古い家具にはありました。
この経緯があるので、私が古道具で一番好きなのは、家具なんです。
でも、この頃はそれを知っただけで、まだ「古道具」という言葉も知らなければ、そのようなジャンルのお店が存在することも知らなかった頃でした。
ただ自然と古い家具を使っていただけでした。
では何故古道具屋になろうと思ったのか?
きっかけは、実は私が本業としているウェブデザインの仕事がきっかけでした。
その話は、「きっかけ偏」ということで、次回に続きます!
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