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財布のヒモの話。

私は、どちらかというとアナログ人間なのだと思います。

つい最近までは、もっぱら現金派でした。

SUICA や nanaco、WAON などのプリペイドカードの類も使いますが、あらかじめ必要最低限しかチャージをしません。

さらに、財布のほうにも必要最低限のお金しか入れておきません。何か少し大きい買い物をしようと思ったり、財布の中身が空っぽになったら、その都度 ATM に赴き、現金を引き出します。

クレジットカードも持っていません。家族用で私名義のカードはありますけど、私が持ち歩くものではなく、妻が家計管理のために使うものです。なので、私の財布には、クレジットカードは入っていません。

何か私が買い物をするというときには、上にも書きましたが、財布の中から現金を使い、それが底を突くのであれば、ATM に行くことにしています。

こうすると、使いすぎなくて良いなという思いがありました。言わば、この不便さがストッパーになって、財布のヒモを固く結ぶことができると言いますか。私は気を抜くとつい浪費してしまうことも多々ありますから(豪遊するとかではなく、お菓子とか本とか細かいものを買って浪費してしまう)。

そんな時、ちょっと試しに電子マネーを利用してみることにしました。最近では現金不可のお店も出てきて、このまま現金派で居続けることで弊害が出てくることもあるかと思ったからです。

どの電子マネーにするか一瞬迷いましたが、よく聞いたことがあって有名そうなやつを使ってみることにしました。

PayPay です。

アカウント登録は簡単でした。本人確認手続きをして銀行口座をひもづけて、というところまではちょっぴり面倒でした。

ですが、いざ使えるようになると、まるで現代人の住むデジタル社会の仲間入りをしたような気がして何だか嬉しい気持ちになりました。

それでもまだしばらくは現金派で居たのですが、ちょっと子供に頼まれて本を買ってあげようとした時に手持ちのお金が足りなかったことがあったんですよね。

そこで、せっかくなので PayPay を使ってみることにしました。

レジの前に立ち、店員さんに「PayPayで」と声をかけます。さも普段から使っているようにさりげなく。

バーコードを読み取ってもらうと「ペイペイ!」となんかいきなりデカイ音声がスマホから聞こえてちょっと驚きました。画面を見るとどうやら決済完了している模様。

おお、こんな簡単に買い物できるんだ。

これに味を占めて、早速私は、普段から使っている銀行口座から、残高の全額を PayPay にチャージしました。

私にとって、毎月お小遣いとして自分が使える金額などはさほど多くありません(二万円か、多くて三万円)。

ですから、こうして全額を電子マネーにぶち込むことは、もしかしたら危険かもしれません。昨日ちょうど PayPay で不具合があって一部の時間帯に決済ができないというニュースもありましたし。

ですが、私にとってこの「いちいち ATM に行かなくていい」という手間を省けることが、何より嬉しいと感じました。それなら潔く現金派の派閥を抜けようではないかと。(ただし、リスクヘッジとして少しだけ財布の中に現金は残しておきました)

では、財布のヒモはどうするのか。
今後どこでストッパーをかけるのか。

たとえ少ないとはいえ、毎月の給料日までは自分で可処分所得をコントロールしないといけません。それに失敗すれば、妻に頭を下げて、臨時でお小遣いを頂戴する申請をしなければならないわけです。

以前は「いちいち ATM に行かなくてはならないという億劫さ」が、財布のヒモとして機能していました。

では、PayPay を導入した今では?

単刀直入に言えば、それは「レジで店員さんに『PayPayで』と申し出なければならない恥ずかしさ」がそれにあたります。

PayPay が恥ずかしいのではありません。人間嫌いで、極力他人と話したくない私の心が、そのストッパーの役割を果たしてくれるということです。

それだけコミュニケーション能力に難がある私ならではの財布のヒモ機能なのでしょう。

ただし1点注意事項があります。無人レジ(セルフレジ)だと、人と話さなくてもいいので、私は勢いでたくさん使ってしまいそうで不安です。この辺りは気を付けていきたいと思います。

それにしても、本当に便利だなぁ。どうしてみんなもっと早く教えてくれなかったのだろう。IT 技術を仕事にしている人間なのに、これほどまでアナログに固執していた過去の自分の頭を叩いてあげたいものです。おわり。


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