技育祭(Geek SAI)のイベントレポート(Day2)
こんばんは、ふりかけです。
2020年7/4(土)-5(日)にオンラインで開催されていた「技育祭」に参加しました。こちらでは、Day2で話されていた内容を簡単にまとめてみました。
(参考) Day1は以下でまとめています。 まつもとゆきひろさん、成瀬允宣さん、マスク・ド・アナライズさんの講演を聴きました。
1.2020年代、人工知能はどこまで行くのか 〜その中で技術者は、どう生きるべきか〜 松尾豊
東京大学大学院工学系研究科 教授 松尾豊
・ディープラーニングとは
ディープラーニングとは、一言で言うと『深い階層を持った関数を使った最小二乗法』。関数の引数が、別の関数で、というネストが深くなっていく。これが deep learning の deep の意味。
急に深い(表現力の高い)関数を使えるようになった背景には、① 計算機のパワーが上がったこと (特に GPU の活用によるブレイクスルー)、② データ量が増えたこと(ウェブ上の情報からデータを整備する試みが続けられていた)、③ 人間のバイアスが取り除かれたこと(以前は「できないものだ」という思い込みがあった)がある。
・ディープラーニング革命
技術の進展に伴って、順次、以下のことができるようになる。
① 認識
画像認識ができる。ここはかなり制覇され、実用化も進んだ。日本は出遅れた。。
② 運動の習熟
ロボット・機械に成熟した動きができる。いまここの段階。2−3年で大きなブレークスルーか。
③ 言葉の意味理解
文の意味を扱う処理ができる。5−10年で大きなブレークスルーか。
・世界モデルの重要性
世界モデルとは、外界からの刺激をもとに、外界世界をシュミレートするモデル。これからは、状態の変化についてのモデルを明示的に持たないモデルフリー強化学習から、世界モデルを使った、「何をやったらどうなるか」という状態の変化が明示的に規定されているモデルベース強化学習へ進展してくだろう
・日本の戦略
ハードウェアと深層学習の組み合わせ。
汎用技術にはキラーアプリケーションが生まれ、評価される企業が一変する。トランジスタはテレビやラジオ、エンジンは自動車など。インターネットでは日本は出遅れてしまったが、それ以外では代表的な企業が生まれており、悲観的になるには時期尚早だろう。
2.アイデア大爆発 〜コロンブス的発明で活躍しよう!〜 増井俊之
慶應義塾大学教授 Nota Inc.CTO 増井俊之
・問題の発見と解決の大事なこと
「問題発見→解決方法の発想→実装→ドッグフーディング (自分で使う)」これを全部やらないとうまくいかない。
・求められるのはフルスタックエンジニア?
知識は沢山持っていると有利。論理回路設計の知識がWebアプリに有効だったり、何が役に立つかわからない。深い理解が望ましい。人気だからではなく、スジが良いから使うという意識。長期的に有効なもの(長続きする教養や長続きしそうな技術など)を学習する。
・発明をするには
発明に必要なものは、様々な知識や知見と長期的なドッグフーディング。(昔の状況を知らず現状に発想が縛られてしまう可能性もあり、若ければ発想が柔軟とは言い切れない。)
発想のプロセスは、①十分な知識を蓄える、②解決したい問題についてよく考える、③しばらく寝かせる、④突然思いつく。
芋蔓発想法、無茶ぶり発想、制約発想などテクニックはいろいろ。趣味をいろいろ持つこと、いろんなことをやることで、別カテゴリからの発想が得られるかもしれない。
・人脈や運も実力
実力とは何か、時間をかけて昔からやってることはモノになる。
人脈も実力。実力者と近付くには、コネの利用、人脈の芋蔓、招待講演を企画する、講演会のトイレでつかまえるなど手段はいろいろ。行動力大事。
運も実力。いつ来るか分からない15分のために常に準備をしているのがプロ(奥山清行)。普段から準備(勉強、デモの用意、常に考えておく)しておき、チャンスを逃がさない。
(参考)いつ来るか分からない15分のために常に準備をしているのがプロ(奥山清行)