今年の短歌 自選10選
雨上がりの空を見て
さよならだクラウドナインの夢を見る
屋上のフェンス越し
晴れた空に手を伸ばし
落ちていく夢を見る
金木犀の馨りが消える
センチメンタル
短い季節だから
洗い晒しの雨上がり
傘を閉じて
明ける視界に視える世界
雨上がり
雲の切れ間に差し込む光
僕を照らして照らされて
貴女は私の一番星で
瞬くような速さで駆け抜ける
閉じた世界開いた視界
傘の中に広がる僕だけの世界
今日中に逢いたい
夜明け前、日付変更線の上で逢いたい
大切に仕舞い込んだら手が出せない
だから乱雑に散らかして
網膜に焼き付けろ過ぎれば会えない
遠く高くの入道雲
もっとたくさんあるかなぁ?とか思っていたけど、思っていたよりも少なかったです。似たような歌が多いけど音やリズムを意識して、『声に出して気持ちいいもの』という自分の中のこだわりは少し形に出来たかな?と思っています。
一番最初の歌が今年一番のお気に入りの歌です。私は夏の入道雲がとにかく好きで、入道雲をクラウドナインと表現することを知った時、すごく美しいなと思ったことがずっと心に焼き付いていて、いつか形にしたいなぁって思っていました。それを短歌で表現出来たことが、すごく嬉しかったです。来年はそんな『嬉しい』という気持ちを重ねながら、もう少し短歌を詠んでいきたいなって思ってます。短歌の鋭く研ぎ澄まされた美しさが、好きだなぁと改めて思った一年でした。
自分の中の曖昧さを、曖昧なまま鋭く研いでいけますように。