「信念」によって理想を現実化する方法
はじめに
「あなたってどんな人ですか?」
と聞かれたとき、自信を持って即答できる人は多くはないと思います。
一方で、「あなたの将来の理想像はどんな人ですか?」
という質問については、具体的に答えることができる方も多いでしょう。
現在の自分はどうであれ、将来的な理想像を自由に思い描くことができるからです。
今回は、具体化しやすい「自分の理想像」を使って、理想を叶えるにはどうすべきかというテーマについて、アメリカの心理学者であるフェスティンガーによって提唱された「認知的不協和理論」に基づいて、自分なりの考察も踏まえて書いていこうと思います。
理想を叶えるために「信念」が必要
将来の理想を叶えるためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
それは、未来の理想像を現在の自分に当てはめて確信することです。
言い換えれば、自分は何者であるか、「信念」を先に作り上げてしまうということです。
例えば、将来は「誰にでも平等に優しく接する心優しい人」になりたいという理想を思い描いたとします。
そのとき、「将来は優しい人になりたいなあ」と常に思っている方は、いつまでたってもそのような理想が叶うことはありません。
なぜなら、近い将来も、その先の将来も、同じように「将来は優しくなりたいなあ」と思っているからです。
変わる瞬間を将来に先延ばししていると、その将来は永遠にやってきません。
変わりたいなら、今変わることが重要です。
そして、今変わるためには、「誰にでも優しくなりたい」といった理想を持つのではなく、「自分は誰にでも優しい人だ!」といった「信念」を先に決めてしまい、信念を自分の頭の中で信じ込むことが重要です。
つまり、理想を叶えようとするより先に、自分にとって理想的な信念を頭で作り上げてしまうということです。
認知的不協和理論について
この項では、なぜ自分にとって理想的な信念を頭で先に作り上げてしまうことで、理想を叶えることができるのかを説明します。
「認知的不協和理論」とは、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された理論です。
認知的不協和理論とは、「自分の信念と行動が矛盾したときに感じる不安を解消するため、信念を変更することにより行動を正当化する現象」を説明する理論です。
信念と行動の矛盾からなる不快感を解消するために、つじつまを合わせるという人間の心理を解説した理論とも言えると思います。
よく言われている具体例として、タバコがあります。
タバコを吸うのは体に悪い、という信念があるにも関わらず、タバコを吸ってしまっている人がいるとします。これは明らかに信念と行動が矛盾しています。
ここで生じた矛盾によって不安が生じるため、それを解消するために、「タバコを吸っていても長生きしている人がいるから、吸っていても大丈夫」などと、信念を変更します。信念を変えることで矛盾を解消しているのです。
これは、逆の考え方でもあてはまります。
たとえば、「自分は綺麗好きだ」という信念を持つ人が、部屋を散らかったまま放置していると、信念と行動の矛盾が生じます。
その矛盾を解消し、自分の信念を貫くために、掃除をするという行動によって矛盾を解消しているのです。
今回の記事では、2つ目の綺麗好きの例を参考にしています。
自分の理想となる信念を先に頭の中で強く意識することによって、信念と行動の矛盾で生じる認知的不協和を解消しようと行動することを狙っています。
理想像の対象は「自分自身」とする
理想を作り上げる上で重要なのは、「外的な環境によって左右される漠然としたもの」ではなく、「どんな環境であっても揺るがない自分自身の理想像」にすることです。
例えば、「将来はお金持ちになる」という理想は、周囲の環境などの不確定要素も含んだ理想像となってしまっています。
周囲の環境は日々変化するため、周囲の状況も予測しつつ自分の明確な理想像を思い描くことは難しいです。明確な理想を思い描くことができなければ、理想像に近づくのはより難しくなります。
その場合は、少しだけ考え方を変え、「お金持ちになるにはどのような自分でいるべきなのか」といった、自分自身を対象にした具体的な理想像を考える方が良いでしょう。
つまり、環境要因を含まずに、理想の対象を「自分自身のみ」とするということです。このように、自分自身のみを対象とした具体的な理想像であれば、将来の環境がどうであれ「信念」はぶれないので、その理想に早く近づくことができます。
例えば、「自分はお金持ちだ」といった不確定要素を含んだ内容を先に決めるのではなく、「自分は貯金が好きだ」とか、「お金を貯めるために毎日仕事を頑張る努力家だ。」など、自分がどうであるか、を明確に決めることが重要だと考えます。
実践することが重要
自分自身の信念を先に作り上げ、それを強く信じることで、理想の自分に近づくことができます。
理想を現実化させるためにはとにかく実践してみることが重要です。
まずはどんな自分になりたいのかといった理想像を深く考えて、それを具体的な「信念」として強くもって行動してみてください。そして、その信念を基に行動するよう心がけることで、理想の自分に近づくことができるのではないでしょうか。