紙媒体からデジタルへの転換、公募ガイドのDX / 公募ガイド社 浅田邦裕さん【Talkwith#2】
こんにちは!ファンタラクティブPRのannaです。
久々の投稿となるクライアントと代表井村との対談シリーズ「Talkwith」、今回は株式会社公募ガイド社代表取締役社長の浅田邦裕さんにご登場いただきました。
昨年10月に企業が創作の募集や審査を一貫してできるBtoBサービス「Kouboプランナー」と、今年2月に公募メディアのBtoCサービス「Koubo」のリニューアル版がリリースされました。
ファンタラクティブは要件定義からデザイン、フロントエンド実装まで一貫して担当しました。
エンジニアドリブンではなくデザインドリブンで
――公募ガイドさんが今回DXに取り組もうと考えられた背景を教えてください。
浅田:私が公募ガイドに入社したのは9年前の2014年ですが、当時はまだ紙の雑誌だけを扱っていました。業績は厳しく何とか改善する必要があり私が入ることになりました。入るからにはもちろん勝算はあって、デジタルで新たな戦略が実現可能になりソリューション系のビジネスが展開できそうと考えていましたが、実際に来てみたらそう簡単には進みませんでした。
一方で、日々の業務に追われて気がつけば5年が経過し、構想はあったもののなかなか進められていない状況でした。
そんな中コロナ禍があり、事業拡大のため採用を増やしていて固定費が増えていたのも重なり、経営状況はさらに厳しくなりました。そこでそろそろ本気で公募ガイド社をなんとかしないといけないと考え、DXプロジェクトを本格的に開始することにしました。
――DXパートナーとしてファンタラクティブを選定していただいた理由は何だったのでしょうか。
浅田:私は過去にも何度かシステム開発を経験したことがありますが、その経験からエンジニアドリブンの開発は良くないと思いました。機能的には要求を満たすものができ上がるのですが使い勝手が悪いものが多かったんです。そこで今回はデザインドリブンのアプローチをとることが必要だと考えていました。
UI/UXデザインに強い会社を探していた中で知ったのがファンタラクティブの井村さんでした。ファンタラクティブより先に井村さんを見つけたんですよね。
他にも何社か打ち合わせをしてみましたが、大きなデザイン会社は営業の担当者さんが出て来られることが多くて。ファンタラクティブさんにお願いする決め手になったのは、まず井村さんのレスポンスの速さです。また、私自身も小さい会社を経営しているので井村さんの立場が理解できて、井村さんならきちんとコミットしてくれるだろうと感じました。
ビジネスに今必要かどうかで技術を選ぶ
――要件定義から一緒に取り組んでいったとのことですが、その際に感じたことは何ですか?
浅田:井村さんは私たちの課題の本質に迫り、ビジネスとして成功するためにはどうするべきかをクライアント目線で考えてくれました。ただ、既に私が何年も考え抜いてきたことについても議論になることがあり、最初のうちは両者の認識や温度感を合わせるのに時間はかかりました。どのプロジェクトでも最初は通るべきフェーズだと思うので仕方ないですけどね。
――井村さんは、要件定義においてどのような考えやスタンスで進めていったのでしょうか。
井村:ご相談をいただいた時既に、浅田さんが「公募DX」と名付けた構想をまとめている一枚絵を作られていて、まずはそれをもとに話し合いを進めていきました。toCユーザー向けのアプリとメディア、さらにtoB向けのサービスを作るという構想があったのを覚えています。そこから、本当にアプリを作るべきか、技術的にもビジネス的にもどう設計するかなどを考えていきました。他に、社内のシステムもばらばらだったのでどのように統一するかも考える必要がありました。最終的な意思決定は浅田さんが行いましたが、私も積極的に意見を言ってましたね。
浅田:そうですね、技術的な知見は井村さんの方が持っているのでかなり頼っていました。
――技術選定はどのように進めていきましたか。
浅田:DXプロジェクトの開始当時、社内でただ一人のエンジニアはまだ入社して半年ほどしか経っていませんでした。彼は新しい技術への探求心は人一倍で色々な技術を提案してくれていたのですが、本当にうちの規模感で必要なのか?など疑問に思うこともあり、井村さんに相談していました。
井村:判断の基準とするべきなのは、その技術がビジネスに今必要かどうかなんですよね。特にバックエンドの選定は、次の10年を見据えてサービスの安定性や保守性も考慮に入れる必要があります。技術選定には力を入れていて、GraphQLやHasura、決済プラットフォームのStripeなどさまざまな技術を実験しながら比較検討を進めていきました。
柔軟な意思決定でプロジェクトを前に進める
――プロジェクトが進む中で浅田さんが感じられていたことなどを教えてください。
浅田:私たちは今までウォーターフォール型でしかシステム開発を進めてきたことがなかったのでアジャイル型の開発に慣れていなくて、ちゃんとゴールに辿り着けるのか正直不安はありました。
井村:プロジェクト全てがアジャイル型というわけではありませんでしたが、期限を決めてそこまでにリリースするぞと決めてしまうと議論を進める中でどうしても変わってきてしまう仕様やデザインに対応できなくなってしまうので、浅田さんと都度話し合い、時には怒られながら(笑)調整していきました。
浅田:井村さんに怒られたこともありましたけどね(笑)。(ファンタラクティブのメンバーに対して指摘をした際に)「そんな言い方ないでしょう」って。
井村:そんなことありましたっけ(笑)。プロジェクトの進行中にメンバーの入れ替えや役割の変更などを行ったことがあり、ご迷惑をおかけしまったなと反省しております。
浅田:でもそこに柔軟性を感じたところもあるんです。ちゃんと井村さんがコミットメントしてくれて、状況をみて社内のエース級の方を引っ張ってきてくれて上手くいかない時もきちんと立て直してくれました。井村さんが自分ごととして捉えてくれている感じがありましたね。規模の大きいシステム開発会社だとなかなかできないことだと思います。
井村:ありがとうございます。僕は今回のプロジェクトを通じて浅田さんからスピード重視の意思決定の重要性を学びました。とにかく前に進めることが大事という考えのもと、プロジェクトの途中で部分的にリリースをしたりリリース予定の順序を入れ替えたりなど、社長だからこそできる意思決定をされていました。そのおかげでプロジェクトが大きく前に進み、皆の空気も変わりましたね。
浅田:無理なものを根性論で進めても意味がないからね。
――公募ガイドさんの社内での認識合わせのために実施したワークショップについてはいかがでしたか。
浅田:ワークショップはファンタラクティブの中村さんがリーダーとなって企画や運営を進めてくれましたが、とてもよかったです。社内全員が参加して今回のDXプロジェクトや今後私たちが目指すべき方向性について共通認識を持つことができ、皆のモチベーションも上がったと感じています。
ただ継続するのは大変ですね。時間がかかるので通常業務が回らなくなってしまう。私も何度か社内でワークショップをやったことがありますが、企画を考えたり会場や設備を押さえたり人を集めたり…準備がすごく大変ですよね。中村さんも結構コストかけてくれてたんじゃないですか。中村さんが社内にいてくれたら継続できたかもしれません。
井村:中村はそういうことには工数度外視で取り組むタイプなんです(笑)。社内でもカルチャー推進室長として色々と頑張ってくれています。一旦リリースもしましたし、改めてまたワークショップはやってみても良さそうですね。
――今回のプロジェクトではユーザーインタビューは行ったのでしょうか。
井村:toCのメディア「Koubo」について実施しました。SNSのような「つくログ」やマイページ周りについて、グループインタビューの形式でユーザーの声を聞きました。公募ガイドには10〜20年間使い続けているコアなユーザーが数千人います。その方たちにどうしたら良い体験を提供できるかどうかを浅田さんは特にこだわっていました。
営業が売りたくなるサービスに
――リリース後、社内外からの声や反応は何かありましたか。
浅田:まず「Kouboプランナー」は社内外ともに評価が高いです。特に営業チームのメンバーはクライアントへのプレゼンで積極的にデモを行うようになってくれました。以前はデモを行うことに対して少し及び腰だったのですが、今では「デモから入りましょう!」と意欲的になっています。
井村:それは嬉しいですね!社内の皆さんがポジティブになれてるというのは本当に嬉しいです。僕たちとしても正直良いものができたと思っています。デザインリニューアルを一度リリースした後さらに一周して改善を行うことで、ユニークで使いやすいUIが実現できたのかなと思います。
浅田:メディアの「Koubo」についてはPVは少し増えてました。ようやく枠組みができ上がったので次はコンテンツ運用に力を入れていきたいと考えています。一緒に頑張ってくれるパートナーを探しています。
問いをデザインし、世の中に投げかける
――公募ガイド社さんの今後の展望について教えてください。
浅田:ファンタラクティブさんのお力添えがあり、ようやく枠組みが整ってスタートラインに立てました。今年はその枠に見合ったコンテンツを充実させていきたいです。
さらに、私たちの市場は小さいので新しい市場への進出も必要だと考えています。今考えているのは、Kouboをユーザーと直結したマーケティングプラットフォームにしていきたいということですね。
井村:公募ガイドさんの企業理念の一つ「良い問いがあれば、最適な解は導かれる」はとても魅力的だと思います。公募ガイドに対する世の中の印象としては、懸賞のイメージやフリーランスの人が稼ぐといったイメージが強いかもしれません。創作物が注目されがちで、良い問いが良い創作物を生むという考え方はまだあまり浸透していないと感じています。"良い問いを投げかけること自体が公募である"という考え方があると、またさらにワクワクする世界が広がると思います。
浅田:問いを出す側も実は答えを事前に知らないんですよね。公募でも答えが出てきてから「あ、そうそう、それだ!」という発見に繋がることが圧倒的に多い。良い問いと答えが循環するサイクルを生みだすような、本質的な問いを投げかける会社であり続けたいと思います。問いのデザインをするシンクタンクがあり、その下に公募ガイド社がぶら下がるような持ち株会社のスタイルにしていきたいです。
私自身、子供が好きで教育の観点からも「問いのデザイン」には重点を置いています。今までの教育では、答えがありそこに最短距離で辿り着ける子が優秀とされてきました。しかしこれからは自分で良い問いを立てて解決策も考える子を育てたいなと。これはライフワークとしてやっていきたいことですね。
井村:問いを立てることのできる企業や人材が増えると、社会全体が活性化しそうですね。
――ファンタラクティブはパートナーとして今後どのような協力ができそうですか?
井村:私たちが作るサービスは作って終わり、というものではありません。リリース後もクライアントの予算や状況に応じて継続的に課題を解決していくべきだと考えています。今作っているものを他社に渡して上手く回るかと言ったらそうでもない。僕たちは頭を使うことでも良いし、手を動かすことでも良いので、その時々にできることをやっていきます。
公募ガイドさんの未来については僕も最初から考えていて、その未来へ向けて一緒に進むことにずっとワクワクしています。
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