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【ライトハウス】複雑怪奇でまとまらない煮え切らない考察


予告編からもビシビシ伝わっていた不穏な空気は作品全体をすっぽり覆っていて、まるで怖い夢でもみているような感覚に陥る作品でした。

観終わってから「え?どういうことだったの?」と取り残されてしまいましたが、ここが各々考察する上での考え方・捉え方によって幾つもの答えが生まれるのでしょう。

正直一回観ただけで考察できるほど理解もできず、かといって他の方の考察でひとまず自分を納得させるのも悔しいというのが本音です。もっともっと見直して考察を重ねたいと思いますので、ヒントになりそうな所をメモがてら最後に残しておくことにします。


映像は35ミリモノクロ映像で、しかもサイレント映画を思わせるアス比ときています。

超トリッキーです。

一見すると見づらいかな?と思わせますが、波しぶきの一粒一粒までよく見えて黒の圧力に押しつぶされそうなほどでした。

むしろカラーの作品より情報が少ないからこそ、ヒントを見逃すまいと目を凝らし耳を澄ます必要が出てきます。すると作品の恐ろしさが一層増して襲ってくるのです。ビバリウムとはひと味違った狂気がクセになります。


見るよりも聴く事がポイント?


映像だけでなく、音でも充分ビビらせてくれます。

のっけから不穏な音楽や不快な音などでビビらされるおかげで、タイトルフォントさえもおどろおどろしく思えてしまいました。考察を進める中で、この音がポイントになっているのではというタイミングが2ヶ所ありました。

 かもめが鳴かなくなるタイミング
 (単に嵐が来たから鳴かなくなっただけかも?)
 灯台の音が鳴らなくなるタイミング
 (夜だけ音がする仕組みなだけかも?)

この2つです。しかしまぁ音に散々ビビらされたおかげで疑心暗鬼になっているだけかもしれない気もするし…うーんどうなのでしょうか?

これ以外にも転機となっている気のするポイントがもう2つあります。

 トーマスが帽子を取るタイミング(小屋でのマーキングや、イーフレイムへの躾完了の合図?)
 飲酒し始めるタイミング(幻視が悪化したりしてるかも?)


考察をしたいっっ


自分の中でこれは考察する上で正解に近づいているかな?というシーンがあります。

それは偽イーフレイムが偽イーフレイムであると自白した後のシーン。

森という木に囲まれた環境で真イーフレイムを殺したと打ち明けます。この後、貯水槽という水に囲まれた環境で溺れてカモメが死ぬ場面があります。

ここまで似通った状況で男とカモメが死んでいると、意味があるとしか思えません。しかもカモメは船乗りの魂が乗り移った生き物だと信じられているわけですから尚の事です。

そして、ポイントとなるのがこの後のシーン。

片目のカモメを無茶苦茶にするシーンです。「先代の助手(隻眼の男)を殺したのはトーマスだ」と責めるシーンがありますが、カモメ殺しと人殺しがリンクしていると考えると、先代の助手を殺したのはイーフレイム自身なのかもしれません。

稼ぎの良い仕事に就くため、先代の助手を殺して自分がその仕事に就いた?なんてことも考えられます。でもいつ?どうやって??

このシーンの他に特に気になっているシーンが2つあります。

まずはトーマスに黙ってこっそり灯台に登るシーン。
灯台の上で死体を見つけた時、その死体がイーフレイム自身の姿だったように思います。(勘違いじゃなければ)

さらに死体を見つけた瞬間、トーマスに見つかり、まるで灯台のようにトーマスの目が光り彼を照らすシーン。これも意味ありげで象徴的でした。これが何を意味するのか、もしくは何も意味しないのか。そこが分かれば真相にすこし近づける気がします。

次にラストの島から逃げ出そうとするシーン。
映像では救助艇を壊して斧で追いかけてきたのはトーマスでしたが、その後にトーマスから「お前が救命艇を壊して追いかけてきた」と責められます。

ここから思いつくのは、実はトーマス=イーフレイムで灯台守は最初から一人しかいなかったというオチですがあまりにもつじつまが合わない気がしますし、なによりもさすがにベタ過ぎてつまらないので考えたくありません。

あるとすれば、きちんと2人いるけどトーマスの出ているシーンは所々妄想であったり自分自身と置き換わっているというオチでしょうか。

そうであれば、その妄想やあべこべになっているシーンには何かしら印があるはずなので次回以降そこを突き止めたいと思います。

これらのシーンと、灯台の意味する所が分かってくれば真相に近づけるのではないでしょうか。

〆のひとこと


ここまで複雑で思わせぶりだと、すべて情報を受け取ろうとバチバチに集中して観ざるを得ません。なかなか体力を使いますが、そういう意味でも見応えのある作品でした。

まだ本当の意味での評価はできないかもしれませんが、現時点では☆3.6/5.0としたいと思います。

この作品に至ってはなんか食べながら観るなんてしてたら置いてかれちゃいますので、にがーい抹茶を点てて少しづつすすりながら鑑賞してはいかがでしょう。



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