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飲食店で失敗しない職場の選び方について(面接編)【その3】みなし残業代に注意する

みなし残業代に注意する

飲食店の募集要項の給料の欄をみてください。
そこにこのような記載は書かれていませんか?

「月給には固定残業代(40,000円~/34h分)を含みます。超過分は別途支給」

このような記載があれば、それがみなし残業代と呼ばれる賃金規定です。この規定は雇う側にとってかなり有利な規定です。採用している会社は多く見られると思います。雇う側にとって有利なら、雇われる側にとって不利ということです。
何が不利なのか。みなし残業代についてご説明します。

一つ目の不利 残業代の計算が異なる

【その2】勤務する時間から考える「月177時間程度以上働く 割増賃金」で触れたように、法定労働時間を超えたら時給単価の25%を支払うのが労働基準法の決まりです。
お給料が22万円でしたら、およそ1272円が時給単価です(法定労働時間の年平均の月173時間で割った金額です。以降、時給単価は173時間を用います。)割増賃金は1590円です。
法定労働時間を20時間超過して勤務したら、1590円×20時間=31792円が、22万円に加算され、251,792円が税金などの控除前の給与です。

20時間超過して働いた場合(固定残業代がない場合)
220000÷172=1272(時給単価)
1272×.1.25=1590
1590×20h=31792
220000+31792=251792

ところがです。
お給料に固定残業代が含まれているとなると、お給料は22万円から4万円引いた、18万円が基本給です。
上の例では34時間分が固定残業代ですので、20時間の残業でしたらその中に含まれていますので、固定残業代として4万円払われます。合計は18万円プラス4万円で22万円です。
数式にすると以下になります。

20時間超過して働いた場合(固定残業代がある場合)
220000-40000=180000
180000÷172=1040(時給単価)
1040×.1.25=1301
1301×20h=26012
34hまでは40000なので、
180000+40000=220000

結局、20時間超過して働いた時、251792-220000=31792円の違いが出るのです。
40時間働いた場合の式も二つ書きましたので、みてみてください。

40時間超過して働いた場合(固定残業代がない場合)
220000÷172=1272(時給単価)
1272×.1.25=1590
1590×40h=63584
220000+63584=283584
40時間超過して働いた場合(固定残業代がある場合)
220000-40000=180000
180000÷172=1040(時給単価)
1040×.1.25=1301
34hまでは40000なので、
1301×6=7803
180000+40000+7803=227803
→両者の差額 283584-227803=55780

二つ目の不利 法定労働時間を超えた働きを期待される

固定残業代は1分でも超えたら、決まった金額がまるまるもらえる仕組みです。これが何を意味するか。それは「1分余計に働いてね」というシフトではなく、「34時間分働いてね」という圧力になって現れるところです。
仲間もみな同じように扱われているなか、自分一人だけ1分超えるようなシフトを要求できることは考え難いと思った方がよいでしょう。
このように、経営する側からみれば固定残業に決めた時間まで法定労働時間を超えた運用ができるのです。

固定残業代の記載があれば、お店がどれだけの時間を働いてもらおうと期待しているか、逆算するとわかることになります。

177÷23日(勤務日)=7.7時間
(177+34)÷23日(勤務日)=9.2時間
→休憩1時間とすると、10.2時間働いてもらう予定

なぜ、このような規定があるのか

それは本当の給与(基本給)で募集しても人が集まらないので(上の例だと月給18万円)、月給を高く見せるためだと言えましょう。
しかしそれのみならず、固定残業代分フルに働くことが期待されるので、募集要項に固定残業代の記載があるときは、自分はそれでも納得できるのか、よく考えられるとよいと思います。
(固定残業代制度をとっている会社が悪い会社だというわけではありません。)


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