”異世界ファンタジーは私の原点” 編集部立ち上げから1年弱で創刊した「novel スピラ」の軌跡を追う。
8/17(木)に、異世界ファンタジージャンルにて、『novel スピラ』を創刊します!
ちなみに「スピラ」には、今回創刊するノベルレーベルの「novel スピラ」とコミックレーベルの「comic スピラ」があり、「comic スピラ」は今年の11月ごろ創刊を予定しています。
この「novel スピラ」、編集部立ち上げから1年足らずで創刊まで至りました。
また、「novel スピラ」の作品は、”小説家になろう”や”カクヨム”などに投稿されたWeb小説が元となっています。
1年という短い期間での創刊の裏にはどのような苦労があったのか、Web小説が本となり、書店に並ぶまでにはどのような経緯があるのか、本日は「スピラ」編集長へのインタビューによって、その軌跡を追っていきます。
異世界ファンタジーは、私の原点だった
――本日はよろしくお願いします。Hさんは異世界ファンタジー作品が大好きだとお伺いしました。
大好きです!それこそ、学生時代は異世界ファンタジー小説の投稿サイトとして有名な“小説家になろう”に投稿された作品をずっと読み漁っていました。それは大人になった今でも変わらず、もうかれこれ15年くらいですかね。
もちろん、異世界コミカライズ(※)作品も大好きで沢山読んできました。
※コミカライズ…小説などを元に制作したコミックのこと。
――15年…!流石です…!その熱は、今回の創刊とも関係があるのでしょうか?
そうですね。異世界ファンタジージャンルは、私が本や漫画を好きになったきっかけのジャンルであり、私の原点とも言えるジャンルです。
そのため、自分自身も作品づくりに携わり、異世界ファンタジージャンルをもっと盛り上げていきたい、同ジャンルの素敵な作品をもっと広めていきたいとの思いもあったので、多少は関係あるかもしれません。
ただ、それとは別に、他社さんが異世界ファンタジー作品を沢山出しているのに、ファンギルドだけやれてないことを課題に思っていました。
そこで、ファンギルドからも異世界ファンタジー作品が出せるよう、他社さんの異世界ファンタジー作品を徹底的に分析し、その研究結果を上司に報告したら、翌月に編集部の立ち上げが決まりました。
これにはさすがに、いやいや急ピッチすぎるだろ!と思いましたね(笑)
――すごいスピード感(笑)分析は100冊以上にも及んだとお聞きしましたが、実際にはどのような分析をされたのでしょうか。
私自身も異世界ファンタジーが大好きなのですが、どのような展開がどんな理由で好きなのか、という点まではよく理解していませんでした。そのため、私含む読者さんが異世界ファンタジーに求めていることを知るために、まずは人気作品の共通点を探すところから始めました。
すると、私の予想以上に、人気作品にはたくさんの共通点があることが分かったんです。
例えば、人気作品の共通点に、”虐げられてている主人公が成功して幸せを掴む”という展開があります。私もこのパターンの作品が大好きです。
ではなぜ、私含む読者さんはこのような作品が好きなのでしょうか。
これには、主人公の立場が逆転したときに爽快感を味わえること、苦労している主人公が最終的に幸せを掴むことで、努力が報われる喜びを感じられるところがあると思います。
また、現実世界で悩みや困難に直面している多くの人々にとって、虐げられている主人公が異世界で成功して幸せを手に入れるストーリーは、日常のストレスや現実の問題から逃れるための癒しや希望、勇気を与えてくれます。
このように、分析を進めるにつれ、読者さんが異世界ファンタジーにどのような感情を求めているのか、その結果どんな展開を好んでいるのか、ある程度の共通点が見えてきました。
もともと異世界ファンタジーの作品はその舞台設定やキャラ設定がある程度ジャンルで共通しているので、他のジャンルよりも顕著な”求めている感情”や共通点”が抽出できたんだと思います。
あとは、読者さんが”求めている感情”を存分に満たすためには、どんな見せ方をするのが効果的なのか、上記の“共通点”に、どんな創造性やユニークさを足していくのか考えるのは、作家さんと編集者の仕事ですね。
上記以外にも分析より得たことは多々あるのですが、”求めている感情”とそれを表している要素が”共通点”としてわかったのは、部署立ち上げとして大きかったです。それを元に、ファンギルドではこのような異世界ファンタジーを出します!と明言し、それに向かって迷わず進むことができたので。だからこそ、短期間で創刊までたどり着いたのだと思います。
また、時代の流れとともに読者の皆さんが求めているものは変わっていくので、そこから逸れないよう分析は随時ブラッシュアップされ、今でもチーム内のメンバーで継続して行っています。
なにもかも手探りで、とにかく動いて走った日々。
――立ち上げからノベルは1年弱で創刊ということで、なにが一番大変でしたか?
なにもわからない手探りの状態から進んでいくのが一番大変だったかもしれませんね。
元々、「スピラ」編集部は異世界ファンタジー小説のコミカライズを目的とし立ち上がりました。そのため、小説を紙で発行する予定はなかったんです。
ただ、コミカライズをどんどん進めていく中で、自分の作品を”書籍”として出したいという夢を持っている作家さんがすごく多いことがわかりました。今後、コミカライズをより推進していくためには、やっぱり小説の書籍化もできないとダメだよねということで、「novel スピラ」の創刊に至りました。
しかし、ファンギルドは電子コミックを中心につくってきた出版社。小説を編集できる編集部員もおらず、もちろん小説の紙書籍発行もしたことがない。
そこで、いろんな場所を駆け回り、情報を集め、運よく今お世話になっている書籍の編集さんに巡り合いました。現在は、その方が書籍化の業務を担ってくれています。
――Web小説が紙の本となって店頭に並ぶまで、どのような工程があるのでしょうか。
発売をする小説は、元々は小説投稿サイトに投稿されていた小説なので、もちろん編集の手や校正なども入っていません。
そこでまず、作家さんにもう一度すべてのお話を見直してもらうところから始まります。読みにくい箇所やわかりにくい箇所は表現を変えたりして、作家さんと編集者でブラッシュアップしていきます。
同時に、表紙や挿絵を書いてくれるイラストレーターさんを探し、イラストの制作を進めていきます。もちろん、キャラクターや挿絵のイメージは作家さんと刷り合わせをし、それを元にイラストレーターさんにオーダーします。
あとは、あらすじや帯の煽り文、表紙デザインなども編集が制作を進め、すべてOKとなると印刷所さんへデータを入稿します。
入稿後は、印刷所さんが出してくれる初稿を元に、表紙の色や小説の内容に誤字がないかなどを再度チェックし、OKとなったら、書籍の流通に載せて販売となります。
疲れたときの逃避先に――「スピラ」に込めた思い
――最後になりますが、「スピラ」という名前の由来を教えてください。
「スピラ」という名前は「スパイラル」の語源になっている言葉なんです。
「スピラ」には渦という意味があるんですが、作家さん、作画者さん、読者さん、編集者など、沢山の人を巻き込んで、作品やレーベルを成長させていき、大きい渦をつくっていきたいという思いがあります。
また、その渦に関わるすべての方を、今より少し幸せにしたいとも思っています。
他にも、「スピラ」には螺旋という意味もあり、異世界転生作品を扱う上で、輪廻転生の意味も込めました。
ちなみに、スピラのロゴの水色は「スピラブルー」と部署内で勝手に名付けて呼んでいます。異世界の雰囲気があり、とても気に入っています。
――それでは、読者のみなさんに一言お願いします。
「スピラ」は、疲れた時の逃避先になれるような、読み終わった後に少し前向きな気持ちになれる作品を取り揃えたレーベルになれるよう、これからも制作を進めていきます。
素敵な作品が続々と控えていますので、ぜひみなさんにも読んでいただけると嬉しいです。
ありがとうございました!編集長へのインタビューはここで終了となります。今後、「novel スピラ」は毎偶数月17日頃に新刊を刊行していきます。
まずは下記に8月の新刊を紹介させていただきますので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
<8/17 新刊>
「聖女不在による仮初め婚なのに、不器用な王太子に溺愛されています」(著:景華/イラスト:福田深)
<あらすじ>
悪役令嬢のはずが王太子と結婚!?
王太子レイモンドの婚約者ロザリアが生きる世界は、彼女の前世での愛読書とそっくりだった。小説の中のロザリアは、聖女にレイモンドを奪われる悪役令嬢……のはずが、聖女は現れずそのまま結婚!! 聖女が登場するまでの仮初め婚と諦めているロザリアと、彼女を愛しているのに恋愛偏差値ゼロで素直になれないレイモンドはすれ違い続ける。そんなロザリアを慕う護衛騎士ゼル、遅ればせながら降臨した聖女アリサを巻き込んだ四角関係はいったいどうなる!?
<著者:景華さんコメント>
私にとってデビュー作になった今作。連載中も主人公達と共にたくさん悩みながら書いた作品ですが、今回の書籍化にあたり、連載中に書きたくても書けなかったシーンもたくさん追加させていただき、とても楽しみながら書かせていただきました。人は言葉の掛け方、受け取り方一つで簡単にボタンを掛け違え、すれ違い迷ったりします。それでも思い続ける力、自分を振り返ることの大切さを、ロザリア達を通して感じていただけたらと思います。
<スピラ編集部 新卒より、おすすめポイント>
「自分は聖女の代わりだ」と勘違いするロザリアの切ない恋心と、ロザリアへの愛を伝えるのが下手すぎるレイモンドの両片想いが、じれったくて愛しくて、もう最高です♡ ♡♡ レイモンドは護衛騎士と二人きりの時には、ロザリアへの重たいくらいの愛を語るのに、ロザリアと一緒の時は照れ隠しで聖女の話をしてしまうような子です。恋愛が苦手すぎて、恋愛小説を読んで甘い言葉を練習したりもします。もうこの時点で、レイモンド可愛すぎではないですか♡?物語の中盤では、せっかく距離が縮まってきた2人に新たなトラブルもあり…!?レイモンドはロザリアの勘違いを解消してラブラブ夫婦になれるのかをぜひ読んで見届けてください!
「洗脳されかけていた悪役令嬢ですが家出を決意しました。」(著:谷六花/イラスト:麻先みち)
<あらすじ>
私、もしかして前世からやってきたの!?
真っ赤な瞳のマリアンナは、誰からも恐れられる魔力の持ち主。そんな〝色持ち〟の宿命として幼い頃から大好きな王太子・アレクシスの妃の筆頭候補だったはずが、ライバル出現! 何としても王太子妃になれと怒鳴る父に洗脳されてしまったマリアンナは、いつの間にかライバルのエレナに危害を加える悪役令嬢に……!? このままでは私は死んでしまう! 前世で読んだ物語の通りに事態が進んでいることに気づいたマリアンナの恋、そして運命の行方は!?
<著者:谷六花さんコメント>
本作は、自分の持つ強大な力を恐れながらも運命を切り開こうとする主人公と、ちょっとヘタレな王子のお話です。読者さんが声に出して読むわけでもないのに、ところどころで会話のテンポを意識して書きました。ここかな、と思うところを見つけて、声に出して読んでみてください。スベった感じになるでしょう。
読んでくださる方に、少しでも楽しんでいただけると幸いです!
<スピラ編集部 新卒より、おすすめポイント>
ぜひ、マリアンナの魅力を存分に感じてください!!!知れば知るほど、彼女から抜け出せなくはなりますが…!個人的には、運命を変えるために行動する大胆でかっこいい一面がある一方で、アレクシスの前で臆病になってしまうマリアンナの姿には可愛いすぎて発狂しそうでした。キャラクターの色々な表情が文章から浮かび上がってきて、応援したくなること間違いなしです。また、そんなマリアンナとアレクシスの恋模様に注目してほしいのはもちろんなのですが、2人を取り巻く陰謀(⁉)が明かされていくハラハラのストーリー展開も必見なんです!!特に後半は、次々とまさかな出来事が起こります。キャラクターの魅力もストーリーの面白さも、両方たっぷり楽しめる作品です!
<novel スピラ>
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HP:https://spira.jp/