その「ボケ」って必要ですか。
スマン、愚痴っぽい内容となる事を予めお断りしておきます。
まずは、ここで言う「ボケ」というのは、カメラレンズにおける被写体の前と後ろの俗に言うピントが合っていないぼやけて写った像の事です。
昨今、大口径のレンズの評価には、必ずと言って良いほど「ボケ」についての寸評が書かれており、開放値F1.0からF2.8ぐらいまでのレンズ評価に欠かせない内容となっています。
開放値の明るいレンズは、絞り開放での撮影時に被写界深度が浅くなるため、被写体をピンポイントで捉えることで、画像を見た人の視線をピントの合った被写体へ誘導する事が可能となります。と、私が一眼レフに興味を持ち始めた時に聞いた事が有ります。
写真の背景などを「ボケ」とするのは、レンズの被写界深度を利用した副産物と言えます。画面の隅々までクッキリ&ピシッとピントを合わせたパンフォーカスでの撮影ですと、被写体の前後等に埋めれてしまうため、主役の判断が曖昧になります。
ちなみに人様の眼は、近眼や老眼を除けば、パンフォーカスですので、AFなんて概念も無いですね。しかも、見上げても見下げても、視界にはパースなんて存在しないように、脳内補正でも有るのでしょうか、人体は、摩訶不思議です。
パンフォーカスは、集合写真や風景、建物の撮影時に使いますので、開放値が大きいレンズでも可能ですが、私の経験ですと被写体までの距離が大きい場合、画像の周辺(レンズの隅)の解像度が落ちますので、パンフォーカスの撮影でも開放値F4.0ぐらいのレンズは欲しいです。人物の撮影での距離は、少し大きな声での会話の可否で判断できます。
上の2枚は、ボールにピントを合わせて、絞り優先F2.8とF16の画像です。
F2.8の画像は、フォトブックを作成した際の背景画像として使いました。F16の画像は、記念写真として芝生のグランドにボールがある風景として眺める事が出来ます。
絞りF16は、俗に言うパンフォーカスですね。ボールから背景の山々までクッキリと写ってますので、主役がボールなのか山々なのか、また、建物なのか判断に迷います。
絞りF2.8は、ボールとその周辺がクッキリと写って、その他の部分は「ボケ」た画像です。視線がピントが合っているボールにいくのは、ごく自然な事です。
でね、レンズの製品評価などに、「ボケ」の写り方に関するコメントが多いせいなのか、大口径の開放値が小さい理由として、背景の「ボケ」を作るためのレンズだと言った、合ってるような間違ってるような解釈がありました。
撮影のジャンルによって、レンズの使い方も多種多様ですから、いろんな解釈があって当然です。
個人の使い方に限定されたお話であれば納得もできますが、一般論として語られるとレンズたちが、狭いジャンルに捉われたことが原因の誤解が生じるかもしれません。
そんなことで、大口径の開放値が小さいレンズについて、「ボケ」の評価もほどほどが宜しいかと考えた次第です。