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通学中の電車で本を読む時間が、案外好きだということ。
4月から本格的に対面授業が始まった。キャンパスには「こんなに人がいたのか」と驚くほど、人で溢れていた。お昼になると、学食が激混みして長蛇の列になっていたことに驚いた。
人生を物語に例えるなら、大学での生活は、冒険物語だろう。良くも悪くも、おもしろいところだ。
最近、学校までの移動時間に、読書をしたりnoteを書いたりするようになった。4月に入って、それは大きな変化だった。
電車の中で書く文章は、机の前よりも「ついで」という感覚が大きい。そのおかげか、肩の力が抜けて、読書も、執筆も、結構捗るようになった。
電車の中で本を読んでいると、自分でも驚くほど物語の世界に没頭して、のめり込んでしまう。あっという間に目的地へ着くので、毎回驚いてしまう。
もはや学校へ行くことよりも、電車で本を読むことの方がメインのようになってきているような気がしなくもない。通学の中に潜む、意外な楽しみを見つけた。
私は鞄の中から本を取り出した。お気に入りのカバーに包まれた本の中身は、今朝選んだものだ。
通学中のお供に読む本は、疲れすぎず、軽くなく、疲れた心に沁みるやさしい本が良い。
4月の通学中、鞄の中に入れていた本は、森下典子さんのエッセイ『日日是好日』だった。
以前、去年の秋に一度読んで、春になって、また再読してみた。たった半年でさえ、感じ方が変わったのだから、年を重ねれば重ねるほど、感じ方が変化していくのだろう。そう思うと、未来が楽しみになってくる。
ゆっくりじんわりと、人生という旅を歩いていきたい。そう思わせてくれるのが、読書のすてきなところかもしれない。
大学には人がたくさんいる。そして、いろんな人がいる。いろんな格好の人がいる。しかし、高校よりもずっと、「他人」も多いのだ。
自分とはほとんど関わりのない人たちが、それぞれ自分の時間を過ごしている。ただそれだけ。
自分は周りから見ればただの背景の一部だ。私は周りの目を気にせず、自分の好きなようにいていいのだ。
私は私のままで、ここにいていい。
あるとき、そう気づいて、肩の力がすとんと抜けたような気がした。
他の人に何をされるわけではないし、何かをする必要もない。外で過ごす時間も、賑やかな学食で食べる昼食も、ベンチで休憩するときも。ただ、私のままでそこにいて、生きてさえいればいいのだ。
家で一人の時間を過ごして、休憩することはもちろん必要だが、それも含めて、ちょうどいいバランスを見つけられそうな気がした。
「このままで、いいじゃないか」(中略) 「私は、私のお茶をすればいいのだ」
第十章 「このままでよい、ということ」
185ページより引用)
昼食を食べ終わると、1時間ほど空き時間があった。とりあえず本でも読もうかと、私は学校の図書館へ向かった。
そのとき、ふと、気づいてしまった。図書館でパソコンが使えるということに。しかも、そこからnoteにログインすれば、大学にいても執筆ができるぞ…?ということに。
なんてこった!こりゃいかんぞ!いや最高かよ!これではパソコンスペースの隅で、キーボードを永遠にタイピングし続ける妖怪と化してしまいそうだ。
私は早速席につき、うきうきしながらパソコンの電源を入れた。notoのページにログインすると、見慣れたページが広がる。まだ登校し慣れない大学の中で、馴染みのあるものに触れることができる。そう思うだけで、なんだかほっとした。
私は空白のテキスト画面を開くと、今、頭の中に浮かんだことを書き始めた。
他愛もない独り言から始まる文章を書き始めると、思考が流れ出して、頭の中がどんどん整理されていった。
何も考えないで書く。ただひたすら、文字を書き綴っていく。それが意外と書きやすい。
気づけば書くことに集中していて、腕が勝手に動いていく。まるで書く内容が決まっているかのようだった。その感覚は自分でも奇妙で、不思議なものだ。
人混みにいると無意識にも疲れているものだ。普段、考えるばかりでアウトプットされていない思考。それが溜まると、知らぬ間に「気疲れ」に変わっていくのかもしれない。
考えていることを書き出すことで、頭がスッキリしていた。
没頭していると、時々、文章の中に、活字の奥に、のめり込んでしまう。引きずり込まれるような感覚に陥ることがある。
そういう時、一時間でも二時間でも、何時間だって書き続けられそうな気がする。「文章を書くこと」に、出会えて良かったなと思う。
前の自分に比べて、最近の私はずいぶん、うまく息ができるようになったと思う。呼吸を、ほどよいバランスでできるようになって、ずいぶん生きやすくなった。
生きていく上で大切なのはきっと、頭で考えることよりも、心で感じたことが教えてくれめくれるのかもしれない。私は頭で考えたことを優先させがちだから、もっと心の内側にある自分の声に、耳を澄ませていきたい。