三輪山を愛でる:纒向ウォーキング
今回は奈良県纒向[まきむく]遺跡の徒歩観光コースのレポートです。
纒向学研究センターの論文集『纒向学の最前線』(2022年)の中で、来村[きたむら]多加史さん(阪南大学)が「三輪山の山景を生かした散策の企画」という論文を寄せています((『纒向学の最前線』分割版3、p769-776)。2022/10/31のnoteで紹介しました。
来村さんはガイドとして、何度も纒向遺跡を案内していて、その経験にもとづいた企画の提案をしています。三輪山の眺望ポイント5ヶ所から、様々な山景を楽しめるコースです(論文のp772に三輪山の山景の図が掲載されています)。
いつか、来村さんの提案コースを歩いてみたいと思っていて、ようやく2024/10/21に実現しました。
reliveのアプリで歩いたコースを記録
来村さんの論文では、出発はJR三輪駅ですが、僕は先に桜井茶臼山古墳に寄り、ここからスタートとしました。reliveのアプリを初めて使いました。reliveは2024年9月のアップデートで写真が挿入できなくなりましたが、歩いたコースだけでも記録できるのはありがたいです。
まずは桜井茶臼山古墳から望む三輪山です。
①大美和の杜展望台の周りは樹が繁って、三輪山が隠れてしまっていました。
②茅原集落の南にさしかかるあたりです。Google Mapでは弁天山古墳で検索し、その南側になります。この地点は来村さんのハイライトです。
井寺池から観える三輪山と箸墓に感動
僕は、③の井寺池西堤からの眺望が一番感動しました。井寺池までは少し坂を登るのですが、登ったかいがありました。
上に三輪山、振り向いて下には箸墓[はしはか]古墳が一直線です(relive画像の赤線)。来村さんのコメントのとおり、三輪山と箸墓、大物主神[おおものぬしのかみ]と倭迹迹日百襲姫[やまとととひももそひめ]に思いをはせずにはいられません。
④平塚古墳から小川塚東古墳に向かう曲がり角になります(来村さんの山景の図と照らし合わせると、場所が間違っているかもしれません)。
ホケノ山を通って箸墓へ
来村さんの論文にはないのですが、ホケノ山古墳にも寄りました。
⑤うかつなことに、箸墓古墳をどう撮ろうかとばかり考えて、三輪山をメインにした写真を撮り忘れました。
纒向遺跡の中心部からはどう観えた?
JR巻向駅に近い大型掘立柱建物跡では、スマホをかざすと建物をARで体験できます(桜井周遊ARガイド)。VR(仮想現実)は全部がCGですが、ここはAR(拡張現実)ですので、現在の風景にCGを重ねて観ることになります。
ARで復元されている3つの建物は、手前から楼閣、神殿、王の居館(宮室)とされています(寺沢薫『卑弥呼とヤマト王権』(中央公論新社、2023年))。纒向の中心部からは、こんなふうに三輪山が観えたのですね。
JR巻向駅がゴールです。ホケノ山古墳や纒向遺跡ARで時間を使ったこともあり、桜井茶臼山古墳から3時間ちょっとのコースでした。JR三輪駅からふつうに歩けば7.5kmですので、もっと短い時間で回れると思います。
確かに、日本神話を事前に勉強していくと、もっと深く感動を味わえるかもしれません。僕のように日本神話に詳しくなくても、風景だけで十分楽しめるコースだと思いました。そんなことをいうと、来村さんに怒られてしまうかも。
来村さんの5ヶ所の提案に加えて、額田王[ぬかたのおおきみ]歌碑から望む三輪山もよく紹介されています。天智天皇とともに近江に向かう額田王が、最後に「もっと三輪山を見続けていたいのに、つれなく雲が隠している」と歌った場所とされています。
次回、また纒向遺跡に行くことがあったら、三輪山に登拝したいです。展望台でお会いした方によると、登拝は登りの連続なので、下りは脚がガクガクになるそうです。福岡県の女山神籠石[ぞやまこうごいし]みたいな感じでしょうか。
※歩いたコースのrelive動画、井寺池西堤からの360°眺望の動画は、Instagramに投稿しました。
(最終更新2024/11/23)