「ポストホルンを吹く郵便配達人の記念切手-世界郵便連合(UPU)100周年記念-」(ブルガリア、1974年)
ブルガリア1974年発行のこの切手は、郵便制度の歴史やその進化を象徴する重要なアイテムで、特に16世紀以降の馬による郵便配達に焦点を当てています。以下に、切手の背景やポストホルン、そして世界郵便連合(UPU)についての詳細な説明を行います。
1. 馬を使った郵便配達の歴史:
郵便制度は、長い歴史を持つ社会的インフラのひとつです。16世紀から19世紀にかけて、郵便配達の主な手段は馬でした。これは、道が舗装されていない地域や、交通手段が限られていた時代に、最も効率的な移動手段であったためです。特にヨーロッパの多くの国では、馬を使った郵便サービスが普及していました。郵便馬車(ポストコーチ)は複数の馬によって牽引され、都市間や国境を越えて手紙や荷物を運びました。
馬による郵便配達のシステムは非常に組織化されており、指定されたルートや中継所(ポストステーション)で馬を乗り換え、効率的に長距離をカバーできるようになっていました。これにより、郵便配達の速度と信頼性が大幅に向上し、国際的な通信網が発展する基盤が築かれました。
2. ポストホルン(郵便ラッパ)の役割:
この切手に描かれている郵便配達人が吹いている「ポストホルン」は、郵便配達の重要な象徴です。ポストホルンは、郵便馬車が到着または出発する際に使われ、郵便の来訪を知らせる音を発していました。音は広範囲に届き、村や町に住む人々に郵便の到着を告げ、手紙や荷物を受け取る準備を促す役割がありました。
ポストホルンの使用は、特に16世紀から19世紀にかけて普及しており、その音色は郵便制度と密接に関連付けられるようになりました。郵便馬車のドライバーや郵便配達人は、ポストホルンを吹くことで郵便の進行をスムーズにし、郵便の優先権を主張することができました。例えば、郵便馬車が混雑した街道を進む際には、このポストホルンの音を使って道を譲ってもらうなどの役割も果たしていました。
また、ポストホルンは現在でも、ヨーロッパ各国の郵便シンボルとして残っています。ドイツの郵便会社「Deutsche Post」のロゴなどで、その形を目にすることができます。
3. 世界郵便連合(UPU)について:
この切手は、世界郵便連合(Universal Postal Union, UPU)の100周年を記念して発行されました。UPUは、1874年にスイスのベルンで設立された国際組織で、世界中の郵便制度の標準化と国際的な郵便のやり取りを円滑にするための枠組みを提供しています。
UPUの設立以前、各国間の郵便は非常に複雑で、不統一な料金体系や取り決めが多くありました。例えば、手紙を異国へ送る際には、中継国ごとに異なる切手を貼る必要があるなど、非常に非効率的でした。UPUはこれを解決するため、国際郵便を統一的な枠組みで運営するルールを設け、各国の郵便機関が協力してスムーズに郵便を取り扱うことができるシステムを導入しました。
UPUの設立により、以下のような郵便制度の改善がなされました:
統一料金制度:異なる国に郵便物を送る際に、各国で追加料金を払う必要がなくなりました。
共通規則の採用:郵便物のサイズや重さに関する共通の基準が設けられ、国際郵便の手続きが簡略化されました。
郵便ネットワークの拡充:各国の郵便機関が協力し、グローバルな郵便網が確立されました。
このような改善により、国際郵便はより迅速で信頼性のあるものとなり、世界中の人々が容易に手紙や小包をやり取りできるようになりました。
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