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「外国語辞書を引くことで、思索や思考の時間が生まれる」
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今回は、関口存男の述べた「遅読の意義」について考えていきます。この文章が提示するのは、外国語学習における辞書を引く行為の持つ哲学的な意味、そしてそれがどのように人間の「考える力」を養うのかという点です。
1. 遅読の「遅さ」に込められた意味
この文章の核心には、「遅く読むことの価値」という考え方があります。辞書を引きながら進む読書は、どうしても時間がかかり、通常の読書に比べて非効率的に見えるかもしれません。しかし、関口存男はこの「遅さ」そのものが、普通では気づきにくい「考える時間」を与えるものであり、価値があると指摘しています。
ゆっくり読むことで生まれる意識的な思考 辞書を引き、単語の意味や文法構造を確認するたびに、単に言語の内容を受け取るだけでなく、その単語の背景や文脈について「考える」機会が生まれます。この思考のプロセスは、通常の速読では得られないもので、学習者の言語的・文化的理解を深めるのに役立ちます。
「遅い進み方」がもたらす集中力の増加 辞書を使うと、文章を一語一語理解しようとする意識が高まり、単なる読み飛ばしでは得られない「深い理解」が可能になります。この過程で、言語そのものに対する集中力や注意力が自然と養われていきます。
2. 「考える暇」とは何か
関口の言う「考える暇」とは、単に物理的な時間の余裕を指すのではなく、「人が物事を深く掘り下げる思考の余白」を意味します。この思考の余白が、辞書を引くことで意識的に作り出されるのです。
辞書が与える「自分で考える」契機 辞書を引く行為は、解釈を他人(たとえば教師や翻訳者)に任せるのではなく、自分自身で判断するプロセスを伴います。
単語には通常、複数の意味や用法があり、どの意味が文脈に合うかを自分で考えなければなりません。
また、ある単語を調べると関連する単語や例文に出会うこともあり、これが新たな発見や思考の発展を促します。
「暇」が生む内省的な時間 辞書を引いている間、すぐには文章を読み進められません。この「待ち時間」が、人間に内省的な時間を与える重要な契機になります。たとえば、単語の意味を調べるときに、なぜその意味になるのか、どうして自分はその単語を知らなかったのか、さらに他の場面で使えるかどうかといった問いが自然と浮かびます。この一連の思考活動が、単なる「情報処理」を超えた「思索」の時間を与えるのです。
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