「算数・数学の文章題が得意になるには、国語の文章読解力も必要」
今回は、小学生や中学生が算数・数学の勉強をしていくうえで、算数や数学の文章題におけるつまずきの原因と、それがどのように学習に影響を及ぼすかについて考えていきます。以下のような要素が、問題の理解と解決を難しくしている要因となっています。
1. 数学的な概念の理解不足
a. 数とその関係性の理解の難しさ
数学は抽象的な概念を扱う科目であり、実際の物事と数の間の関係を理解することが求められます。例えば、**「5つのリンゴがあり、そのうち2つを食べるとどうなるか」**という問題では、数を操作するだけでなく、「食べる」という行為が引き算を意味することを理解しなければなりません。
また、「倍」「半分」「割合」などの言葉の意味を正確に理解していないと、問題を正確に解釈できません。これらの概念が抽象的であるため、小学生や中学生にとっては理解が難しいことがあります。例えば、「Aさんの持っているリンゴの数はBさんの2倍です」と言われたとき、「2倍」の意味がしっかりと理解できていないと、計算に進む前に止まってしまいます。
b. 分数・小数・整数の概念の不理解
算数の基本として整数から学びますが、学年が進むにつれて分数や小数の計算が加わります。これらは数の一部であり、「1/2」と「0.5」が同じ量を示していることを理解しなければ、分数と小数を自在に扱えません。また、整数の足し算や引き算はできても、分数の足し算や引き算に苦手意識を持つ生徒が多いのは、分数の意味を「数の一部」としてしっかりと捉えられていないためです。
c. 計算手順の理解の欠如
基本的な計算手順、例えば足し算や掛け算、分数の通分や約分、割合の計算方法がしっかり身についていないと、文章題の解決にたどり着けません。これらは計算の基礎であり、正しく問題を解くための手順を踏む必要がありますが、途中で計算ミスが生じると、問題の理解以前に答えが間違ってしまいます。
2. 読解力の問題と文章題の難しさ
a. 問題文の読解と情報整理の困難
文章題は、文章を読んで状況を理解し、そこから数式を導き出すプロセスが必要です。このため、問題文を正確に読み取り、何が問われているのかを理解する力が求められます。しかし、多くの生徒は文を読んだときに必要な情報を抜き出すことができず、重要なキーワードを見落としたり、問題の内容を誤解したりしてしまいます。
例えば、「AさんとBさんは合わせて10個のりんごを持っており、Aさんのりんごの数はBさんのりんごの数より3個少ない」という文章題では、「合わせて」という言葉が足し算を示し、「少ない」が引き算を示すというように、言葉の意味を数学的に解釈する力が必要です。
b. 複雑な文脈の理解
問題文が単純ではなく、条件が複数含まれている場合には、文脈を整理し、それを数式に変換するプロセスが難しくなります。例えば、「もしAさんがリンゴを3個増やし、Bさんがリンゴを2個減らしたら、2人のリンゴの数は同じになります。」という問題では、前提条件とその変更を考慮しながら読み進める必要があります。このように複雑な文章になると、一度で読み取ることができず、読み返しても理解が進まない場合があります。
3. 認知処理の負荷とパーツの統合の難しさ
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