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連弾発表会

年が明けました。
暖かい家で家族揃って和やかに新年を迎えられるってなんて幸せなんでしょう。自分の幸いに感謝するとともに、困難な状況にいる全ての人たちに、早く平穏が訪れるようにと祈っています。

さて、もうすぐビッグイベントが控えています。
来月あたまに、通っている「大人のピアノ教室」の発表会があるのです。発表会自体は去年も出たので2度目ですが、今回は人生初の連弾に挑戦します。

ピアノを始めたときは、ただ自分が弾きたいだけで、発表会に出て人前で演奏するなんて、全く考えもしませんでした。

気持ちが変わったのは、2023年に1か月ほどフランスとドイツを旅行したからです。旅行で気持ちが解放されて、帰国後は、

「元気で生きている間にもっと新しいことをどんどんやってみたい」

と思うようになったのです。(ちなみに、この旅については下記の二つ記事を書きました。)

発表会は毎年2月に行われ、秋のはじめに先生から「出ませんか?」と打診があります。それまでは、ひたすら「そういうのはいいです」とお断りしてましたが、一昨年の秋に案内を聞いたときは、すぐに「はい」と答えました。旅の力はすごいです。

大人の教室の発表会なので、出場者の力量はまちまち。うまい人もいるけれど、私以上の初心者もいるそうです。いずれにせよ、教室に通う限られた人たちだけでひっそりと行う発表会なので、大勢の一般大衆に聞かれて恥ずかしい思いをするわけではありません。何とかなるはずです。

選曲の際、先生から、「初めての発表会は少し物足りないと思うような易しめの曲を選んだ方が良い」と言われ、その通りにしました。だから、練習し始めてすぐ、これならすぐ弾けちゃうんじゃない?と思いました。しかし、そんなことは全くありませんでした。

譜読みが終わって、ゆっくり曲がなぞれるようになると、先生から次々に細かな指示が入ってきます。そういうのに対応して、さらにテンポを上げて楽譜にある通りの速さで弾くことは至難の業でした。間違えやすいところを、頭の芯がしびれるくらい繰り返し練習しましたが、常に確実に弾けるという状態にはついになりませんでした。

そして、ピアノの技量だけでなく、メンタルの鍛錬も必要でした。演奏を聴かせるということは、曲を最初から最後まで止まらずに弾ききることが大事で、間違えたからといって、そこで動揺して演奏を止めたりやり直したりすることは一番避けなければなりません。

間違えるはずのないところで信じられないようなミスをしても、いつもの難所でやっぱりトチッてしまっても、何が起きてもやりすごし、とにかく最後まで進む。本当に難しかったです。

発表会前は、自分の心について色々考えました。

なぜ人前で一人で演奏すると思うと緊張するのだろう。
なぜ間違えるといやな気持になるのだろう。

聞いてくれる人に不快な思いをさせて軽蔑されるのが怖いのだろうか。

確かにそれも少しはあるとは思います。でも、自分はプロの演奏家ではないし、聞かせる人の大半は教室のほかの生徒やその家族で、ほぼ見知らぬ他人です。その人たちに軽蔑されたところでその後の自分の人生に大きく影響が出るわけではありません。

そもそも人間てのは、大体自分のことですごく忙しいですから、知らないおばさんが下手くそなピアノの演奏をしたことなんてすぐに忘れます。

逆に長く覚えてもらえるほどのダメ演奏をしたら、それはそれで偉業です。軽蔑されるどころか、人に勇気を与えるかもしれません。
「ああ、あんな下手くそな演奏をわざわざ人前でする変わったおばさんもいるんだな。あれなら自分の方が大分ましだから、頑張ろう」
みたいな感じで…。

結局、他人のものの見方なんて人それぞれ。自分にはどうにもできない問題であって、考えても仕方のないことなのです。

しかし、いくら理性でこう考えても、やっぱり緊張するし間違えると慌てる状態は変わりません。

なんでだろう。

更に考えて思ったのは、要するに、自分で自分に失望したくないから怖いのだなということです。間違える自分に一番厳しい目を向けているのは自分自身だったのです。

緊張の原因を作っていたのが自分自身と分かったら少し気持ちが軽くなりました。本番のことを考えると反射的に気持ちは大きく震えますが、これは自分で起こしていることだと自覚することで落ち着けるようになりました。

そして、初発表会の本番。
自分がどんな演奏をしたのかよく覚えていません。緊張もありました。それにレッスン室と違って、ホールのステージの上だと、ピアノの音が広い空間に飛んでしまって良く聞こえないのです。

でも、一度ステージに出てしまったらもう戻ることはできません。無我夢中で手足を動かし、終わりまで弾き切りました。何度かミスタッチもありましたが、止まらず最後までいけました。これだけで自分を誉めたいです。(優しい先生はもちろん、良く弾けてましたと誉めてくださいました。)

実際の演奏の出来不出来は定かでありませんが、発表会の体験は学ぶことが多くあり達成感のあるものでした。だから、先生に「今後も出られますか?」と聞かれたときは、迷わず「はい」と答えることができました。

そして今回、さらに新しいチャレンジをしようと、連弾をすることになったのです。

連弾のお相手は先生です。だから安心です。
「どんな風に弾いても、あなたの演奏に合わせますから、大丈夫です!」
とおっしゃってくれます。

実際に、一緒に合わせ練習すると、本当に自由自在に合わせてくれます。私がミスしてテンポが変わったり何小節か抜けてしまっても即座に修正してぴったり合わせてくれます。

恐るべき安定感!

連弾練習を通じて先生のすごさを改めて知ることができました。

しかし、いくら先生が上手に合わせてくれても、あまりご苦労はかけたくありません。私がみすぼらしい演奏をすれば、先生の顔にも泥を塗ることになります。なので、前回のソロ演奏よりハードルは上がっています。

今回演奏する演目は、先生と手が重なるほど近くを弾く箇所があり、そこが一番の難所となっています。「手がぶつかりそうで怖くて」と先生に伝えると、「緊張しますよね。でも、相手の手を払いのけても自分のパートはしっかり弾いて下さい。」と言われました。

私はもともとが気弱な性格なので、これは非常に高いハードルです。残りあと1か月弱なのですが、まだその部分を先生と一緒にきちんと弾けたことがありません。

今回も、最重要課題は心の鍛錬となりそうです。

でも、何とかクリアしてまた一段成長したいです。
頑張ります。

(ちなみに、発表会では先のベトナム旅行であつらえたアオザイを着る予定です。)




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