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父の短歌

3月から4月にかけて高齢の父が入院した。
何とか退院したが、すっかり体が弱ってしまった。

心配なのは、体以上に気持ちが弱ってしまったことだ。
入院前から農作業はすっかり跡取り夫婦にまかせていたが、退院後は自動車免許も返納して、生きがいだった地元の短歌サークルも、通うのが難しいと退会を決めてしまった。
今は散歩したり読書したりとゆっくり過ごしているが、どこか寂しそうだ。

以前は短歌会に通いながら、新聞の文芸欄に頻繁に作品を投稿し、掲載されると嬉しそうに見せてくれた。
「短歌サークルやめても新聞投稿は続ければ?」と言うと、
「もうあまり歌を作る気にならないんだ」との答え。

何とも寂しい。

それでも、短歌の話をするとすごく嬉しそうで饒舌になる。作品が掲載された新聞の切り抜きを出しては、どんな気持ちで読んだ歌なのか、使っている言葉の意味とかを生き生きと話す。そういう父を見るとすごく嬉しい。

何とか創作意欲が沸くきっかけをつくれないか。

そこで思いついたのが、noteへの投稿だ。これなら出かけなくても好きな作品を発表できる。新聞の文芸欄と違って、選者の先生に選んでもらう必要もない。

父に承諾をもらってアカウントを作り、父の過去の作品群から、今の時期に合いそうな一首を投稿した。幸いスキを一つもらえた。

こうした投稿を重ねていくうちに、また新しい歌を詠みたくなってくれたら良いなと思う。

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