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世間のスピードに追いつけなくたっていいんだよ、私たちなりの生存戦略

先月、今の職場で働きはじめて1年が経った。

仕事は楽しい。周りに自分の仕事ぶりをそれなりに認められている。毎日、真剣に仕事と、お客様と向き合い、気づくと1日が終わっている。

長く続けられるな、と感覚的に思ってはいたものの、この1年は私にとって1つの山だった。
前職は1年未満で辞めた。たいていの人がそうだろうけど、合わない職場ではとことん合わないのである……。

この1年でわかったことは、自分に合ったペースがあるんだから、無理をしない。それに尽きる。

世間の話題についていけない私

昔から、テレビ番組やトレンドの話にはついていけなかった。流行りのギャグもなんだか苦手だ。そんなもんだから、周りの話についていけないこともしょっちゅう。

友人と集まっているとき。職場で会話をするとき。

みんなが共通認識だと思って話していることが、私にとっては共通認識ではなくて、みんなでいるのに、私の気持ちはときどきひとりぼっちになった。(とはいえ、普段はおしゃべりな方だし、決して仲間外れにされていたわけでもない)


話について行こうと、頑張ってテレビ番組をチェックしたり、お笑い芸人を調べたりしたこともあったけど、やっぱり関心がないのに、無理に関心をもつことは難しい。

「なんで自分はこんなにおもしろくないんだろう……」

気に病む日もあった。


おそらく、物事を自分の心に落とし込むのに時間がかかる。
気持ちのスピードが遅い。

一方で、世間のスピードは年々早くなっているように思う。
私がどんどんのんびりになっているのか?
いやはや、まったく追いつけない。

それでも、世間の波に乗ろうと必死だった。
でも必死になると、今度は無理がたたって、体調を崩してしまう。
そんなことの繰り返し。

そんな自分を認めたくなかった。

人の数だけ生存戦略がある

話は変わって、今の仕事を始めてから、しばらく遠ざかりつつあった読書習慣が復活した。
月に2度ほど図書館に赴いては、本を借りてざくざく読んでいる。

今までまったく手に取らなかったような本にも、手を出すようになった。

おそらく、仕事柄たくさんの本に触れ、現在受講中のSHElikesでの学びや出会いを経て、視点が変わってきたのかもしれない。

その中で出会ったのが、「ナリワイをつくる(伊藤洋志)」「年収90万円で東京ハッピーライフ(大原扁理)」。

「ナリワイをつくる」では、個人レベルではじめられて、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事を「ナリワイ」と定義している。

「生活を犠牲にしてやるのが仕事」という定義を壊し、生活の中に隠れた「ナリワイ」を見つけて、「自分の生活」と「働くこと」を近づけていく、生き方戦略を考える本である。

「年収90万円で東京ハッピーライフ」の著者、大原さんは、能動的に年収90万円の生き方を選んでいる。決して、収入が少なくて貧乏なんです、という節約本ではない。

自分の生きやすさを模索した結果が、年収90万円のライフスタイルらしい。

趣味は図書館と散歩と月1回の日帰り温泉、食事は粗食、なかなかぶっとんでいるスタイルで、みんながみんな真似できる暮らし方ではないけれど、自分で納得してこの生活を選んでいるところがキモだと思う。


おもしろい。人には人の生存戦略があるんだ。
そんな生き方もあるのか。

本を読んでいたら、急に、ああ、と腑に落ちた。


ただただ、自分と世間のスピードが合わないだけなのだ、と。

別に自分が悪いんじゃない。
今の世の中のスピードとの相性が悪いだけ。
それ以上でもそれ以下でもないんだ。


学校でも、就活でも、仕事でも、めまぐるしく変わっていく状況についていけなくて、私の気持ちのスピードとマッチしていなかっただけ。

それだけ。

ようやく地に足がついた気がした。
やっと、自分を認めてあげられた。

常識にとらわれず、私なりの生存戦略で生きる

「世間の波に乗っていかなければならない」
「時代についていけないと、生きていけないぞ」

今まで、そんな言葉をたくさん聞いてきた。
きっと、この言葉に揺らぐ人は私だけじゃないと思う。


今の仕事は非正規雇用で、低賃金で、正直、安定しているとは言いがたい。人が羨むような仕事をしているわけでもない。

でも、自分のペースを維持するには、今の働き方はフィットしている。世間の波にあまり翻弄されず、落ち着いて仕事ができる今の環境が好きだ。

一般的には嫌がられがちなシフト勤務も、私には合っている。疲れる前に休めるので、回復が早いみたいだ。

なによりも、この仕事をする意義も感じている。


だから、私は、納得してこの道を進むことにした。
低賃金でも、自分にあったペースを維持して生活することが私なりの生存戦略だ。

これから、また状況は変わっていくかもしれない。いつかこの仕事から離れる日もくるかもしれない。
けれど、根っこのところは、変わらないと思う。

常識にとらわれず、自分の気持ちに素直に従おう。そう決めている。



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