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内臓の評価と介入

アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より

内臓の評価とは特別な感じを抱く人も多いかと思いますが、身体の評価と介入をしていくセラピストにとって、欠かすことのできない要素だと感じています。

今回は、内臓の評価や介入において知っておくべきことをお伝えしたいと思います。


内臓の評価において大切なこと

  • 内臓の位置・動きの異常を検知
    ※ 呼吸に伴う増機能時の偏りを検知

  • 内臓の制限因子:靭帯、間膜、筋・筋膜、皮膚、これらの部位の癒着、短縮、緩み

  1. 呼吸に伴う腹部の動きを手に経験させる

  2. 臓器ごとの動きを知る

  3. 臓器の例外的な動きを検知できる


Mobility Evaluation


内臓の評価をするためにまず最初に意識してほしいポイントは以下の具体例に挙げられることです。

内臓の触診で意識すべきポイント

具体例

具体例の触診を通して、正常と症状の出る身体(内臓)にどのような違いがあるのかを感じ取る必要がありますね。

  • 手術創と反対側の動きの比較

  • 便秘の人の下行結腸、S字結腸の呼吸に伴う動き

  • 股関節の動き(特に内外旋)に伴う内臓の動きの連結

  • 腹膜炎を起こした症例の腹部の動き

  • 胃・十二指腸潰瘍の経験のある人の動き

  • 胃下垂の方の呼吸に伴う動き


肝臓障害

肝臓の障害で出やすい症状

  • 皮膚が過敏になる(アレルギー反応が出やすい)

  • 発汗量増加(臭いも強い)

  • 口臭がきつくなる(舌が白くなりやすい)

  • 右肩の痛み

  • 目覚めの悪さ

  • 日光がまぶしい

  • 消化不良(下痢など)

  • 顔色が黄色っぽくなる

  • 嗅覚過敏

  • 髪にべたつきがみられる

  • 肌にはつや(てかり)がある

  • 生理不順(閉経期である場合も多い)


肝臓の解剖

肝臓の解剖


肝臓の評価

肝臓の評価

背臥位 評価肢位:再現性が高い

  • 位置:肋骨との関係性も含む

  • 柔軟性:全体的に包み込む (呼吸 + or - )
    『 inflow ↔️ outflow 』(前方の方が動きが大きい)

  • 動き:肋骨の動きも含む
     前額面 軸:左三角靭帯
     矢状面 おじぎ方向
     水平面 前内側へ回る


肝臓への介入

肝臓への介入

 側臥位 介入肢位 誘導しやすいため

  • 位置:横隔膜の動きと肋骨の動きを改善する
    (※肝臓に対する直接的な徒手による介入では、位置の修正は困難)

  • 柔軟性:呼吸に合わせて
    「inflow – outflow」を誘導する

  • 動き:前額面と矢状面の動きを確認した上で
     三次元方向に動きを誘導する

胃の働き

胃の働き

  • 胃の容量:1.5〜2.5リットル

  • 胃酸の分泌:1.5〜2.5リットル
     殺菌作用、消化作用

  • 胃酸とともに内容物を混ぜて貯める

  • ペプシン(酵素)でタンパク質を分解

  • 空になるまでに3〜5時間

  • 十二指腸に送り出す順番をコントロール
    1)炭水化物 2)タンパク質 3)脂質 の順番

  • 水分吸収機能あり



十二指腸
  • 約25cm (名前の由来は指12本分)

  • 胆汁や膵液などの消化液を混ぜて分泌

  • ホルモン分泌による調節
    セクレチン: 中和作用
     
    食べ物が入ってくると分泌
     アルカリ性の膵液の分泌を促す
     胃液の分泌を抑える
     
    コレシストキニン: 脂質の分解
     
    脂質の多いものが入ってくると分泌
     胆汁や膵液の分泌を促す

    胃抑制ペプチド: 胃液の分泌抑制
      
    ブドウ糖や脂質の刺激で分泌


虫垂の役割

虫垂の役割

  • 免疫組織

  • 口の中の扁桃と同様

  • 腸内細菌を監視している

  • 有害な菌が入ってくると包囲する
    (→ 炎症を起こして腫れた場合 手術適応)

  • 下痢や抗生剤治療後の好ましい細菌が出ていく


ビタミン
  • ビオチンは食事からの摂取と腸内細菌が作る

  • 不足すると
    肌や髪や爪にトラブルが起きる
    憂鬱な気分 倦怠感 神経障害
    病原菌に感染しやすくなる
    コレステロール値が上がる

  • 気をつけるべき人
    抗生物質を長い間使用している人
    アルコールの飲みすぎ
    透析を受けている人    
    小腸の一部を切除した
    妊婦


座薬
  • 小腸、大腸で吸収されたものは、腸間膜を通して全て肝臓に送られて検査を受け、合格したものが循環系へ送り出される

  • 直腸にある血管の血液は、肝臓に送られず直接、循環系に結びつく
    (本来、この部分では、何も吸収されない)

  • 座薬は、飲み薬に比べて薬効成分が少ないが効果は強い
    (肝臓に解毒されないから)

  • 肝臓に余計なストレスを与えたくない場合には、座薬は有効


ぜひ、普段の臨床に少しでもお役に立てていただけたら幸いです🍀


アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏
より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
福のしま研究会
 YouTube(アレリハちゃんねる)noteでは、アレルギー疾患や自律神経に対する理学療法についてお伝えしています。
アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。

無料のLINEチャットでは、自律神経についての情報発信をしています。
LINEオープンチャット「自律神経の知識箱🎁」


【今後の研修会予定】

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自律神経に必要な運動の要素

『ボディワークと自律神経のつながり』

〜ボディワークに求める運動の要素〜
日時 8月18日 (日) 10:00〜16:00 
(当日現地参加/アーカイブ配信あり)
※アーカイブ動画配信:8月21日~9月15日
会場 東京都内
講師 理学療法士 及川文宏
一般社団法人日本アレルギーリハビリテーション協会
参加費  ※早期割引:6月30日まで

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『自律神経セラピストBasicコース』

 1講座 90分 × 9回
③-1 神経の機能解剖:7月31日
③-2 排便の運動学〜便秘と種類別対策〜:
8月14日
③-3 便秘の原因〜必要な介入と生活習慣〜:
8月28日
<視聴期間>
研修会2日後
から
 ③は9/30まで
 配信予定

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『自律神経を整えるライフスタイルの実践』

日時 9月8日(日) 10:00〜16:30
(アーカイブ配信:9月11日〜9月30日まで)
会場 神奈川県
各タイトル・講師
『自律神経を整えるために必要な身体の使い方』
  理学療法士 及川 文宏
『トレーニング種目から組み立てる自律神経アプローチ』
  理学療法士 石井 りえ
『自律神経と体内水と入浴』
  理学療法士 後藤 和樹
『自律神経を整えるヨガ的生活』
  作業療法士 高橋 志帆
『山登り理学療法士が伝える、歩行と自律神経』
  理学療法士 寺島 佑 
『自律神経を整えるための睡眠の知識』
  理学療法士 本塚 貴裕

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