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「せつない…」 認知症おとーさん日記 Dec.22 2022 

おとーさんがグループホームに入って1年4ヶ月ほど。
その間、コロナ禍のため当然できたはずの外出や外泊はおろか直接面接もいまだにできない状況がつづいてる。

そのあいだ電話は欠かさないようにして、運動不足になりがちなおとーさんに廊下を3周することを日課にするように声がけをしている毎日だ。

そしてことしも年の瀬がやってきた。
去年の年末はわたしがインフルエンザになって帰省できないことにして、ホームで年越しするようにおとーさん自ら言ってもらう作戦をとった。

ことしは秋ぐらいから一時期、毎日のようにわたしの帰省について話題になっていた。その際にコロナ禍でまだまだ外出ができないことを伝え、来年の春以降暖かくなったら帰るから、一緒に散歩をしよう。そのためにも足腰を鍛えておいて、と話していた。

そのせいか、年越しについてはホームでするつもりになっていたおとーさんだったのだけれど…

きょう、おとーさんから何度か着信がありどうしたのかと電話をかけてみたら、

「文恵はいつ帰ってくるんだ?」
「久しぶりに会えると思ってカレンダー見ながら指折り数えてたんだ。」

そうウキウキしながらおとーさんが言う。
すっかり帰宅して年越しをする気満々だったらしい。

小さく息を吸ってお腹に力を込めてから、ことしは帰らないことに対する謝罪とホームで年越してほしいと伝える。

「わかった。文恵が謝ることじゃない。」

そう言うおとーさんの声が淋しそう。
電話を切ったあとがっくりと落胆している姿が目に浮かび、泣けてくる…

来年こそはおとーさんと過ごせる時間を取り戻したい。
こんなせつない思いをするのは、ことし限りにしてほしいと切に願う。

神さま、どうかお願いします。

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