強欲な壺漬けわたし
半年ほど前から知り合いのインスタに社会人の彼氏が登場するようになった。スーツを着ているし、写し方が後ろ姿とか首から下とか、恋人ですとはっきりいっているみたいなもんだ。
スーツ彼氏は仕事帰りにかわいい女子大生の彼女を飲みに連れていく。大学生と違って羽振りが良さそうだ。クリスマスにもブランドのバックなんかプレゼントしていた。
最近は顔をはっきり写すようになった、その度に「あ、そんな大したことないな」と確認する自分がいる。私は羨ましくてたまらないんだろう。可愛がってくれて、お金を持っていて、仕事だって持っている大人っぽい彼氏を。そして、自分の彼氏と比べて負けたような気分になるという愚劣なことをしている。こんな人と付き合えない自分ってそんなもんなんだよねと結論付けて。
勝ち負けなんてそもそもないのだ。
いつからだろう。パートナーが自分の価値を写す鏡のようになってしまったのは。人はなぜ人と付き合うのか。友達に見せびらかしたいから?毎日美しい顔を眺めたいから?お金を持っているから?
そんな事じゃなかったはずだ。
元来、その人自身と一緒にいるその状況に満足しているからだったはずだ。その人と私で完結しなければならないのだ。
なのにいつからか、人が羨ましがるような人と付き合ってみたいとか、相手の欠点を見つけては私もこんなのがお似合いな女なのかと思うようになった。
昔はそんなこと思わなかった。その人と一緒にただいたいし、その人のいちばん特別な人でありたいという純粋な気持ちだった。別に今の沸き立つ強欲な気持ちを否定するつもりは無い。人間だからやっぱそのくらい卑しい気持ちだって沸くはずだし。
そもそも今、相手を失う危機感みたいなものを持っていない、安心感の海にどっぷり浸かってるからこんなこと考えるようになったんだと思う。
私の中のそんな強欲さいわば「強欲な壺」が、たまにインスタに出てくる社会人の彼氏だっただけで、だれにでもそんな「強欲な壺」があるのではないでしょうか?
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