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フルリモート廃止は違法!?LINEヤフー

LINEヤフーが2025年4月からフルリモート勤務を廃止する発表をしました。
この発表に対して、X(旧twitter)上でフルリモートで働けることを前提として入社した社員のみなさんが不満を訴える形で炎上していました。

私は現在、人事として働いています。
新入職員の採用を決定し、いざ入職して働き出してもらった後に「聞いていなかった」や「条件が違う」といった言葉で不満を訴えられることが少なからずあります。

私は採用面接の際に口頭で説明しているのですが、証明する録音音声などはとっていないので、言った言わないで水掛け論になってしまいます。

そのようなトラブルを避けるために、内定を出した際に労働条件通知書を送付しています。
労働条件通知書には、「就業の場所」という項目があります。
ここに関して、今回のLINEヤフーの条件変更の違法性はどの程度なのか、人事としても勉強になると思ったので調べてまとめようと思います。

労働条件通知書に明示された内容を、会社が一方的に変更することは原則として違法とされる場合があります。
ただし、状況や手続きにより合法と認められるケースもあるようです。

1. 労働条件通知書の役割と法的意義

労働基準法第15条に基づき、会社は労働契約を締結する際に労働条件を労働者に明示する義務があります。この労働条件通知書には、以下の事項が記載されます。

  • 勤務地や勤務形態(リモートワークの有無を含む)

  • 賃金(給与)

  • 労働時間(始業・終業時間、休憩時間など)

これらの条件は、労働契約の内容として労使間で合意されたものであり、基本的には会社が一方的に変更することはできません。

2. 一方的な変更が違法とされるケース

会社が労働条件を一方的に変更することは、以下の場合に違法と判断される可能性があります。

(1) 労働者に不利益が生じる場合

労働契約法第8条では、労働者に不利益となる変更は、労働者の同意を得る必要があるとされています。

例:

  • リモートワークの終了による通勤時間や費用の負担増加

  • 勤務地の変更に伴う生活環境の悪化

(2) 合意がない場合

労働条件通知書に明記された内容は、労働者と会社の合意に基づく契約事項です。労働者の同意なく一方的に変更することは契約違反となり得ます。

3. 合法とされる可能性がある場合

以下の要件を満たす場合、会社が労働条件を変更することが合法と認められることがあります。

(1) 就業規則の合理的な変更

就業規則を変更し、労働条件の変更を適用する場合は、次の条件を満たす必要があります。

  1. 合理性があること
    変更の必要性や内容が社会通念上妥当であると認められる場合です。

  2. 労働者に周知されていること
    変更内容を労働者に明確に説明し、周知徹底されている必要があります。

(2) 業務上の必要性が高い場合

業務遂行上の必要性があり、その変更が合理的であると認められる場合、裁判所は会社側の主張を認める可能性があります。

例: コロナ禍の収束後、業務の性質上リモートワークが適さなくなった場合

4. 実務的な対策

会社が労働条件を変更する場合、以下のプロセスを踏むことが推奨されます。

(1) 労働者との協議
変更の必要性や背景を丁寧に説明し、労働者の同意を得る努力をします。

(2) 適切な手続きの実施
変更内容を就業規則に反映し、労働基準監督署への届け出を行います。

(3) 経過措置の設定
変更が労働者に大きな影響を与える場合、段階的な移行措置を設けることで負担を軽減します。

まとめ

今回のLINEヤフーの発表では、フルリモートは撤廃しますが、リモート勤務は可能で、「カンパニー部門」(事業部)に所属する従業員は原則週1回、カンパニー部門以外(開発部門、コーポレート部門など)は原則月1回の出社が必須になるようです。

私個人の感覚による意見になりますが、出社の頻度はそこまで多いわけではないので、従業員に説明し合意を取った後、遠方から出社する社員に対しては飛行機代などの通勤手当を支給すれば問題ないように感じます。

社内の内部情報になるので、発表がないかもしれませんが、合意して出勤する社員、リモートワークができないと働けないからと退職する社員、LINEヤフーと訴訟を起こして強引にでもリモートワークを継続しようとするか金銭的な解決を求める社員、それぞれがどの程度の比率いるのか人事としては気になるところです。

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