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短編その9 鯉に恋して、そばにいて
文字数:1,600字程度
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そのお寺の境内には、自然豊かな池があります。
その中に一匹、大きな錦鯉が住んでいました。全身が白に赤の鮮やかな模様、丸々と太ってもったりと動くその様は、池を見る何者も魅了していました。
そんな鯉は、先月からある女性に恋をしていました。
彼女は人間で、同じ脊椎動物といえども魚類の鯉とは種が
短編その8 ワタセくん
文字数:2,200字程度
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幼い頃、私は毎年の夏休みに、叔父の家を訪れていました。
叔父は畑をやっていました。人参にトマト、ピーマンにきゅうり…とにかく沢山、育てているようでした。
叔父の家に行くと、私はいつも畑の手伝いをさせられました。でも、悪い気はしませんでした。都会っ子の私としては、虫や植物と触れ合うのは新鮮で、
短編その5 きになっちゃうおばけ
文字数:2,200字程度
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——やあ!僕は、きになっちゃうおばけ!
「わ!びっくりした」
突然私の目の前に、それはふわりと現れた。
——ミカちゃん、はじめまして!僕は、きになっちゃうおばけだよ!
「おじゃる◯」に出てくる、貧乏神のような。逆三角形の位置に黒い穴三つ、真ん中に鼻という、典型的なハニワのような顔をしたそれ