二度と読みたくなかった:映画『ルックバック』
ついに、ようやく、映画『ルックバック』を観ました。
今や漫画好きなら誰もが知る奇才・藤本タツキの長編読み切りが原作。
>>>あらすじ
学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられる.....二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。
しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が...。胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる。
2021年夏にジャンプ+で読み切りが公開され、京都アニメーション放火事件がオマージュされていたこともありその鮮烈な内容が大きな話題になった作品。
私も話題になった当時読みましたが、初見の感想は「もう二度と読みたくない!」というものでした。
なんで当時そう思ったか、3年前の感情を掘り起こして少し考えてみたけど、いわゆる“何者かになりたい病”だったのだと思う。藤野と京本がたまらなく眩しくて羨ましかった・・・(今も治ってるか怪しいですが・・・)
本棚の奥底にしまい読み返すこともないまま、「なんかもうあの感情なりたくないし、映画は観ないぞー❗️」とずっと思っていましたが、藤野役が河合優実だとか、周囲の評判だとかに釣られて結局行ってしまった。
6/28公開、8月の中旬に劇場へ行ったら結構な満員!子どもも大人も半々くらいですげ〜となった。
まずシンプルな感想。あの原作を映像化するっていう点において、かなりの1級品だと思います。
演出も独特な藤本タツキのタッチそのまま!かつ、原作では説明をせずフワッと表現されていた部分がさらにわかりやすくなっていて、すごく面白かった。濃い1時間だった。一律1700円なのはめずらしいね〜
漫画に限らず、少しでも何かを創作しようとしたことがある人はとても心揺さぶられる作品だと思う。
初めて読んだ時と同じように 何も持ってない自分に悲しさを覚えて藤野と京本に嫉妬のような感情も抱けば、命を燃やして絵を描く2人の友情と心意気が美しいとも感じれば、天才と称される藤本タツキの見ている世界はこんな感じかー。と立ち止まって俯瞰する感情もあれば、あの痛ましい事件のことを思い出して心底嫌な気分にもなれば…。
この作品を観るたびに、心の奥底がぐちゃぐちゃにかき乱される感覚になる。今考えれば、この感覚が怖くて「もう二度と読みたくない!」と思ったのかもしれない。
大好きな漫画を生み出した大好きな漫画家たちが、こんなことを思わずに創作に励めるやさしい世界であってほしい。
藤野と京本の姿を見て、自分の思い出の作品たちのことを思い出さずにはいられなかった。
こう聞かれた藤野が京本の笑顔と2人で過ごした時間を想起したシーンから、藤本タツキがどういう気持ちで漫画をつくっているのか見えた気がして、少し嬉しくなった。あの変なTwitterアカウントでしか彼の素性を知らないので。(笑)
この映画を観て感じたことは、やっぱり漫画が大好きだということ!
描くのも、読むのも、人から感想を聞くのも、漫画が生み出すことのすべてが私は好きだ。
京都アニメーション放火事件で亡くなったクリエーターたちに、感謝の意と追悼を込めて。
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