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やりたい仕事が見つからないあなたに【#推しのコミックエッセイ】

今の職場ではじめてできた後輩が、この春、会社を辞めるという。

はじめてとは言っても、お互いいろんな勤務先を経て派遣社員として知り合った。だから社会人1年生みたいにキラキラした感じではない。

それでも、20代から50代まで幅広い年代の女性が集まる職場で、当時、最年少だった私の下に入社してきた彼女。
彼女の小学生だったお子さんが、今や大学生なのだから、付き合いも長い。
可愛くて、明るくて、いつだってニコニコしていたけれど、家庭と仕事の両立はタイヘンで、意外と苦労人なのを知っている。
でも社内での人間関係は、彼女の周囲には笑い声が絶えなくて、問題を抱えているようには見えない。

いったい何があったんだろう?
聞くと、
「天職を見つけたんです!」
彼女はピカピカの笑顔でこう言った。
美容方面で起業するのだという。

そういえば、仕事や家事育児のかたわら、美容技術の資格取得を目指していたっけ。
「美容のことを考える方が、ワクワクしてきちゃって」

確かにね。
ウチの職場は書類の山とパソコンと電話の嵐。
ハッキリ言って、この仕事にワクワク感はない。目の前の仕事を、ただただこなすだけ。
食べていくための仕事、いわゆるライスワークだなと思う。
彼女は、ついに自分の人生を共にするライフワークを見つけたんだなと思った。

最近、週末北欧部chika・著『北欧こじらせ日記』を読んだ。


ドラマ化もされたから、ご存知の方もいるかも知れない。

ある時テレビをつけたら、かのドラマが放映されていて、主人公と思われる人物が

「北欧に行きたいから、私、寿司職人になる!」

みたいなことを、いきなり言っていて、トートツすぎて展開についていけず、そっとテレビを消したのだった。
自他共に認める、堅実・慎重派の私。
「つ、ついていけん」
と思ってしまったのである。


その後、たまたま書籍を見つけて、パラパラ読んでみると…
「これ面白い!」
思わず即買い。夢中になって読んだ。

北欧好きが高じて、就職を決めたchikaさん。
「好きを仕事にしたら幸せになれる!」
と信じていたけど、現実は甘くなくって…。
自らの失敗を糧に、ブログを通して北欧好きさんと繋がってコネクションを築き上げたり、お試しで北欧で暮らしてみたり。
スモールステップで自分が本当に好きなこと、やりたいことを模索していく姿が描かれる、コミックエッセイである。

"北欧"って言葉から、"ムーミン"とか『かもめ食堂』好きが手に取りがちな書籍だと思う(お役立ち情報が、書籍に記載されたアプリで得られるから便利)。

でもこの本は、それ以外の方にも、ぜひ読んでもらいたい。
だってこの本、ちゃんとしたキャリアの本なんですよ。

社会人2年目で仕事を失ったchikaさん。
下記のようなやりとりを経て、次に転職エージェントの職に就いた。

                       P74

自分がやりたいことが見つからず、模索を続けたchikaさんだからこそ書ける、"キャリアのはなし"のコラムや体験談が、すごく刺さるのだ。

「若いからこそ」と言われる仕事もある中で、年齢を重ねることを価値にしたい…とも思った。

P95

"自分の旅も、暮らしも、人生も、誰かのモノサシではなく自分らしく決めていい。"

P196

…名言である。


はじめからやりたいことに向かって邁進できる人なんて、どれだけいるだろう。
やりたいことがあっても、あえなく挫折しちゃうことだってあるだろうし。

私も、派遣の事務職という今の働き方に納得するまで、ずいぶん時間がかかった。
どこかに、自分のことを待っている仕事があるんじゃないかと、ジタバタしてたし。
でも、ライスワークと自覚しながら安定した仕事に就き、プライベートは本を読んだり文章を書いて充実させるという生き方に納得してからは、あまり悩まなくなった。

自分で選んで、自分で決めたから。

私の後輩も、人知れず悩んだことだろう。
私だったらとても躊躇して踏み出せない一歩を、今踏み出そうとしている。
寂しくなるけれど、ワクワクする天職を見つけた彼女の大きなチャレンジを応援したい。

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