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読書めも『無能の鷹』はんざき朝未

月刊のヤングレディース誌「Kiss」にて2019年8月号から2024年11月号まで連載され、既に全8巻で完結している漫画です。

2024年10月からは、菜々緒が主演となりテレビ朝日系列でドラマ化されています。

舞台はとあるITコンサル。
有能に見えるが、実は途方もなく無能な鷹野ツメ子は、ひ弱そうに見えるけど実は有能な鶸田をはじめとした個性豊かな同僚たちと一緒に今日も元気に労働中!

主人公の鷹野ツメ子は何もできない。しかし、できる人オーラだけは部長以上!私が会社に必要とされているかなんて関係ない。私が会社を必要としているから会社にいる。

こんなフザケタ言い訳も、なぜか反論できない説得力でねじ込んできます。

この振り切った設定で、様々なITコンサルの難問を潜り抜けていく姿は、IT関係の仕事を経験した人には痛快の極みです。業界のことに詳しくなくても、親切に解説してくれます。なんたって、何にも知らない主人公なんですから。

知的作業はAIに、単純労働はRPAに奪われてしまうことが予想される現代社会では、RPAより複雑なことができるとタカをくくっていては、いずれ居場所がなくなるかもしれません。その時、どのようにして自尊心を守り、メンタルを維持したらいいのか、この漫画が教えてくれているのかもしれません。

また、マネージメントの極意も教えてくれます。

たとえ実務ができなくても、外部との商談でこんなことを言ってくれると、全然違ってきます。

また、こんな風に評価してくれる人が近くにいると、心が救われます。

このシーンも好きなんですよね。こういう経験、あります。

このシーンも、IT担当としては笑いごとじゃなくて、本気で思うとこです。いわゆる、IT担当に直接でなくても、今使っているマシンに愛情を感じてくれれば、担当者には伝わるものがあるのですよ。

とはいえ、後半はひたすらギャグマンガとして驀進していきます。

全8巻で完結するのですが、最後は、なんか、いい漢字のビジネス系ドラマ風なところをスカしていくところが見ものです。

作者のはんざき朝未あさみさんにとって、「無能の鷹」は初の連載作品です。プロフィールなどの情報は公開されていません。新たなテーマで、また振り切った設定のマンガが生まれることを期待しています。

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