見出し画像

とにかく3つに整理しよう!~銀行の「マーケティングと「営業企画」の教科書~

私事ですが、最近、大学生の娘ちゃんが新しいアルバイトをはじめました。
何でも、アンパンマンショーや仮面ライダーショーの司会を努めるそうです。
 
田舎のスーパーで小規模なショーをするのかと思いきや、城島高原パーク(大分)や三井グリーンランド(熊本)でやる大規模なものとのこと・・・
このイベント会社、素人にここまでさせて、大丈夫なのか???
(同僚や友人には「やっぱり親子やねぇ・・・」と笑われます)


わかりやすい!「3つのおやくそく」

イベントの前は、リビングやお風呂で、大声で練習するので、こちらまでセリフを覚えてしまいました。
 
感心するのは、そのセリフのわかりやすさ!
幼稚園児に「伝わる」よう、さまざまな工夫が見られます。

それではここで、楽しいショーが始まる前におねえさんとみんなでショーを楽しむための「おやくそく」を3つしたいと思います。

とっても大切な「おやくそく」なので、しっかり聞いて必ず守ってね!

それではまず、1つ目。
ステージには上がらないこと
今お姉さんが立っているところはステージです。
ステージは、仮面ライダーが大活躍する場所なので、入ってこないようにしてください。

それでは次に、2つ目。
お席を立たないこと。
前のお席のお友達が立っちゃったら、後ろのお席のお友達は見えなくなっちゃうよね。
だから、今いるお席にきちんと座ってショーを楽しむようにしてください。

最後に3つ目。
これが1番大切な「おやくそく」です。
3つ目は、みんなで楽しく仮面ライダーを応援すること!
仮面ライダーはみんなの大きながんばれーの声がとっても力になるんだよ
だからみんな今日は仮面ライダーのこと、一緒に応援してほしいんだ!
みんなできそうかな?

うーん、よく、練られていますよね!
 
人間、一度に3つ以上のことを言われても記憶できないのです。
これは、3歳児も30歳児も同じではないでしょうか(笑)。

フレームワークの基本中の基本「3C」

「今さら『3C』かよ」って方は読み飛ばしてもらって構いません。
ただし、中堅企画担当者が作った企画書でも「3C」が押さえられていない、独りよがりなものも散見されますので、改めて、復習しておきましょう。

「3C」とは「自社・市場(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」の3つの頭文字からとった環境分析のフレームワークです。
あらゆる企画の前提になるものですね。
 
では、事例として、「地方銀行A行が住宅ローンをいかに拡大させるか」との論点に答える3C分析をしてみましょう。

❶自社・市場(Company)

  • A行住宅ローンの強みは、「長期(45年)の返済が可能なこと」と「既存借入との『おまとめ』ができること」。

  • 新築案件のシェアが高い一方で、中古案件で取り負けていることが課題。

  • 人口減少が進むエリアがある一方で、県中心部の若年人口は増加。今後数年は、現状同水準の住宅着工が期待できる。

❷顧客(Customer)

  • 地価や建築価格の上昇に伴い、住宅ローン借入額も増加傾向。

  • 借入額の増加や、今後金利の上昇が予想されることから、将来の返済に対する不安は高まっている。

  • 自分の年収(現在・将来)でいくらまでの借入れが妥当なのか知りたいとのニーズがある。

❸競合(Competitor)

  • ネット銀行が低金利攻勢を強めている。

  • 地元の競合他行は、住宅業者の営業担当者とのリレーションを強化し、中古物件の案件取り込みに成功している。

  • 近年、金利だけでなく、団体信用生命保険の魅力を高め、差別化を図る銀行がある。

「3C」の目的は、「問い」に答えること

3C分析の目的は、こうした情報を集め、「問い」に答えることです。
では、住宅ローンの拡大のために、上記の情報から、どんな打ち手が考えられるでしょうか。
 
まずは、できるだけ数多く打ち手を考えたうえで、10個程度に絞り込んでみましょう。

➀住宅ローン返済期間の50年への延長
②中古住宅業者専門営業担当者の配置
③店周中古住宅業者の洗い出しと営業店によるアプローチ
④中古業者向けの提案ツールの制作
⑤顧客の不安に応えるブログ記事の制作と閲覧者へのリターゲティング広告
⑥年収等に応じた妥当な借入額をシミュレーションできるツールのアプリ導入
⑦⑥のシミュレーションツール利用者へのアウトバウンドコール実施
⑧ネット銀行と比べた優位性をWeb広告でPR
⑨保障の充実した新しい団体信用生命保険の採用

次に、これらを3つに分類していきます。
これには、多少、訓練が必要です。
正解は1つではありませんが、営業戦略としての観点で分類してみました。

A)中古案件の取込み強化
②中古住宅業者専門営業担当者の配置
③店周中古住宅業者の洗い出しと営業店によるアプローチ
④中古業者向けの提案ツールの制作

B)潜在顧客へのアプローチ強化
⑥年収等に応じた妥当な借入額をシミュレーションできるツールのアプリ導入
⑦⑥のシミュレーションツール利用者へのアウトバウンドコール実施
⑤顧客の不安に応えるブログ記事の制作と閲覧者へのリターゲティング広告

C)ネット銀行に勝つ魅力度UP
➀住宅ローン返済期間の50年への延長
⑨保障の充実した新しい団体信用生命保険の採用
⑧ネット銀行と比べた優位性をWeb広告でPR

担当部門で役割を明確にする観点では、以下のような分類もありえます。

A)商品・サービスの魅力度向上
➀住宅ローン返済期間の50年への延長
⑨保障の充実した新しい団体信用生命保険の採用
⑥年収等に応じた妥当な借入額をシミュレーションできるツールのアプリ導入

B)営業態勢の強化
②中古住宅業者専門営業担当者の配置
③店周中古住宅業者の洗い出しと営業店によるアプローチ
⑦⑥のシミュレーションツール利用者へのアウトバウンドコール実施

C)プロモーションの強化
⑧ネット銀行と比べた優位性をWeb広告でPR
⑤顧客の不安に応えるブログ記事の制作と閲覧者へのリターゲティング広告
④中古業者向けの提案ツールの制作

おわりに

➀~⑨が単に並べられているだけよりも、情報が整理されてわかりやすくなったと感じませんか?

ちなみにA)B)C)のタイトルの記述は、できるだけ短くするのもポイント。13文字以内が望ましいとされています。

情報を「とにかく3つに整理する技術」は、コンサルタントの基本技能の1つ。銀行の企画担当者にもぜひ身につけてほしいものです。

さて、明日の朝礼で部下ちゃん達に話す「3つのおやくそく」を考えねば・・・。


いいなと思ったら応援しよう!