映画の感想 「ひまわり」
イタリア映画「ひまわり」を観た。
わたしにとっては涙なしでは観られない映画のひとつだ。
最初に観たのは20代半ばの頃だったと思う。
それから30代40代と歳を重ねるごとに必ず観た。
そして今回50代に入って初めての「ひまわり」だ。
冒頭のひまわり畑とバックに流れる哀愁を帯びたメロディ。
それだけで涙が溢れてきた。
小難しい感想など必要ないだろう。ストーリーもすべてわかっている。
冒頭以外にも涙が出るシーンはほとんど同じだった。
今回久しぶりに観たが、ソフィア・ローレンさん演じるジョヴァンナの逞しさが際立っているなと感じた。
以前はそれほど感じなかったことだ。
ジョヴァンナはただ待っているだけのやわな女じゃない。
アントニオは生きていて必ず探し出してみせるという強い信念を持って行動する。
しかし執念の捜索でようやく探し出したアントニオは、彼を救ったロシア人の女性と結婚して子供までもうけていた。
あまりにも残酷な現実に混乱し打ちひしがれながも、何とか前に進もうと生きるジョヴァンナ。
やがて彼女もまた家庭を持ち子供を授かる。
ジョヴァンナが忘れられないアントニオがイタリアまでやって来る。
どこかへ一緒に逃げようとアントニオはジョヴァンナを誘う。
しかしジョヴァンナはアントニオを愛しながらも、子供を犠牲にできないと(アントニオの子供のことも)アントニオとの別れを決める。
駅で列車に乗り、ロシアへと帰るアントニオを泣きながら見送るジョヴァンナ。
このラストシーンでもやっぱり涙が溢れた。
それぞれの家庭に戻っていくジョヴァンナとアントニオ。
以前観た時、2人のその選択はそうするしか仕方ないとはいえ(不本意ながらも)妥当な選択だと思った。わたしがその立場でも同じ選択をするだろうと。それが大人としての(子を持つ親としての)判断なのではと。
そして今回も同じことを思った。
最初に観た時は、こんな理不尽なことは許されないだろうと号泣したものだ。(若かったなと思う)
アントニオの優柔不断さとマーシャ(ロシア人の妻)の自己中心的な独占欲の強さに腹が立ちもした(今回もそう感じたが)。
命は失われずとも、戦争によって人生を狂わされた人たちもまた戦争の犠牲者ではないかと思う。(いつだって立場の弱い普通の人たちが犠牲になる)
この映画は悲恋の映画でもあるが、同時に優れた反戦映画でもあると改めて感じた。
また何年か後に観たなら、ラストシーンをどう感じるだろう。
今回とはまた違う感じ方捉え方をするのかもしれない。
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