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映画の感想 「マッチ工場の少女」

アキ・カウリスマキ監督「マッチ工場の少女」を観る(2回目)。
以下あらすじと感想を書いておきたい。
主人公はイリス、歳は17か18くらいだろうか。実母と義父と3人暮らしで、マッチ工場で働きながら家計を支えている。というよりほぼイリスの稼ぎだけで暮らしている感じだ。仕事帰りにわずかな食料を買い、家に帰れば食事の支度から片付けまでさせられる。
ある給料日に新しいちょっと派手な洋服を買ったのが両親にバレて叱られる。
やけになったイリスはダンスホールで知り合った年上の男性と関係を持ってしまう。後にイリスはその男性の子どもを身籠るが、お前など愛していないから子どもを始末しろと冷たく言い放たれる。放心状態で歩くイリスは交通事故に遭い、理不尽にも義父から家を追い出されてしまう。
兄とおぼしき男性のところへ身を寄せたイリスだったが、ねずみ取りの薬を使って(飲み物に混ぜる)自分を捨てた男性と実母と義父に(なぜかバーで偶然隣り合わせた男性までも)復讐する。
....…これが大まかなストーリーになる。
冒頭流れるマッチ工場(マッチが作られていく工程)のシーンやテレビに映る中国の民主化運動のニュースなど、前回観た時はあまり何も感じなかった。それが今回観ると、イリスが復讐を遂げるまでの心理と何となく繋がっているように思えた。人を物のように扱い監視し管理し都合よく利用したなら、やがてどういう末路(未来というのか)が待っているのか。
何かそんなことを考えた。
イリスのしたことは若さゆえの暴走に止まらず、暴走が行き過ぎて犯罪になってしまった。
イリスに何でも話せる友人がいたら状況は違っていただろうし、狡猾さやしたたかさといったものがあれば悲劇は起きなかったかもしれない。もっと別のやり方(犯罪までいかないような)で復讐できただろう。稼ぎを巻き上げるだけの親とは縁を切ってもいいのだし。落ちるとこまで落ちたら後は這い上がるだけというような開き直りも出来たと思うが、やっぱり若さゆえそこまでの境地にならなかったのだろう。報われない虐げられたような生活から救い出してくれるのではないかという期待を年上の男性に抱いてしまうのも若さゆえなのか。
でも悲しいかな、そんな王子様のような男性などいないのだ。
......…
ストリートスライダーズの、dancin dollという曲を聴きたくなった。
ガラスのヒールなんて捨てろ。
12時のシンデレラなんかやめちまいな。
そんな曲だった。
......…

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