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02【針箱のうた】巻頭言
(フク孫註:この巻頭言は1992年の初版時にフクの息子であるHが書いたものです。)
「私の一生を書くと一冊の本になるかもしれないね」と母がつぶやいた。
私はこれまで何度か母のそんな言葉を聞いている。私も結婚し、親となり子育てを経験する中で、母のこれまでの生涯について聞いてみたいと思うようになっていった。けれども「有り難いけれども、何かとうるさい」と、母の言葉を反射的にはねのけてきた私は、テレもあって素直に「聞かせて」とは言えなかった。だが、いつまでも時間は待っててはくれないと思い聞いてみることにした。
H・S