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「空間の有理化」でねじれを消す【毎日投稿20日目】

20日目です。
学生時代に勉強していた代数トポロジーのひとつの手法を紹介します。
アイキャッチ画像の背景にうっすら見える「Rational Homotopy theory」に関する話題です。


空間にはねじれがある

代数トポロジーでは、空間の特性を代数でとらえることが多々あります。
ホモロジーやホモトピー群などがその一例です。

結果的に代数的な対象としてねじれがあるものが出てくることがあります。

正確には、捩れて見える空間の特性としてねじれのある代数が登場することに由来するので、空間由来の言葉ではあります。

代数でねじれをなくす方法「有理化」

有理化(有理数体で局所化)することでねじれのある部分は消えます。
「消える」という表現を使っているのは

  • ねじれている部分を考えなくてよくなる(ポジティブな影響)

  • 一方で、ねじれている部分の情報が得られなくなる(ネガティブな影響)

のどちらも含んでいます。

方法を簡単に言うと「整数の世界にむりやり有理数のルールを導入する」、もう少し正確に言えば、有理数体とのテンソル積を考えることになります。

空間を「有理化」するには…

「代数の有理化」を「空間の有理化」につなげることを考えます。
そのためには「代数における変形」と「空間における変形」が紐づいていないといけません。
※きちんとした言葉で言うと「空間 $${X}$$ の特異ホモロジー群の有理化」をホモロジー群にもつ「ある空間 $${X_{\mathbb{Q}}}$$ が(up to homotopyで)一意的に存在し、なおかつ自然」である必要があります。

そして、いくつかの条件下でこれは可能です(証明はかなり大変です)。
詳細は以下のページをご覧ください。

空間のねじれを消すことができるわけです。

まとめ

今回は専門的な代数トポロジーの話でした。
機会があれば「ねじれを消すメリット」みたいな話もしたいと思います。

普段はサイトで大学入試レベルや大学入門レベルの数学の記事を書いたり、気が向いたときにYouTubeに動画を投稿しています。
ぜひ、そちらもご覧いただけましたら幸いです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。


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