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読書量を冊数で量るのは無理があります
図書館で働いていると、利用者の読書量が気になります。貸出冊数の統計を出したり、「月に何冊くらい本を読みますか」などのアンケート調査をしたこともあります。
ただ最近「読書量を冊数でカウントするのは無理があるのではないか」と思うようになりました。
1冊あたりの情報量が本によってまったく違うからです。
「一か月でピーターラビットの絵本全24冊読んじゃった」という人と「ヘーゲル著『精神現象学』上巻がまだ残り50ページか」という人を同列に比較できるでしょうか。
目安としては100ページ未満が絵本などの児童書、100~200ページくらいが新書・入門書レベル、200~300ページが普通の単行本、500ページ以上が重厚な本、というのが私のイメージです。
また字の大きさとか、段組み、余白にもよりますよね。
昔の文学全集などは二段どころか三段組みまであって「読んでも読んでもぜんぜんページが進まない…」ということがありました。
逆に「うむ。」などのひとことですぐ改行して、下半分はほぼ真っ白という「これで同じ原稿料ってずるいんじゃ…」みたいな小説もよくあります。
そこで考えたのですが、冊数やページ数ではなく、情報量を単位化して1冊あたりで表示してはどうでしょうか。
発想としてはカロリーですね。こんにゃくとバターでは同じ量でもまったくカロリーが違いますが、表示があるとわかりやすいです。
単位を仮に「Yom(ヨム)」とすると、
「この1冊で158000Yom!○○のすべてがわかる内容充実の決定版!」とか、
「おやすみ前にちょこっと300Yomの読みきりストーリー!」といったアピールができます。
私がこのことを考えたのは、貸出冊数の減少を理由に市立図書館の分館削減を検討している自治体があるというニュースを見たことがきっかけでした。
もちろん本当に住民が本を読まなくなったのかもしれませんが、貸出冊数の減少は単なる「少子高齢化」の反映である可能性も高いです。子ども向けの本は冊数をこなしやすいので、利用者が高齢化すると貸出冊数が減少しがちなのです。冊数だけを見て、1冊の本をじっくり読むタイプの高齢者が通える図書館が閉鎖されてしまうのではないかと心配です。