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産後の過ごし方

開業助産師の塚原杏都子さんに教えていただきました。

まずは産前のお話から

 産後の話をする前にまず妊娠の話から始めます。妊娠とは、女性の持つ卵子が十分に育ち排卵、男性の持つ精子が射精後に両者が結ばれ無事に受精卵となり子宮内に出産まで居付く現象です。
 わずか数行でサラリと書きましたが、出産までの約280日の間に、たった1個だった受精卵が細胞約3兆個、約3kg、50cmの赤ちゃんになるまで子宮に包まれ育つ奇跡の連続の期間です。子宮自体の大きさもニワトリの卵大からスイカ大にまで大きくなり、重さにすると2ℓペットボトル約5本分とかなり大がかりな状態になります。
 出産の前までは赤ちゃんを子宮内で十分に育てるため子宮が収縮していないかを注意深く診ていきますが、ひとたび生まれていい時期が訪れお産が始まれば状況が180度転換、子宮から赤ちゃんが出てくるための重要な後押しとして子宮の収縮(陣痛)が必須となります。このように妊娠~出産は母体のホルモンレベルから目まぐるしく変化する時期とも言えます。
 さて次は産後がどんな状態なのかを詳しく説明しましょう。

出産直後のカラダについて

 妊娠から出産の目まぐるしい母体の変化についてお伝えしましたが、この変化は産後も続きます。子宮の中の赤ちゃんのお腹には細長い臍帯が付いていて胎盤につながっています。この胎盤は生まれる赤ちゃんの体重の約5分の1~6分の1、丸いホットケーキのような形で子宮の壁にくっついています。この胎盤は妊娠中に赤ちゃんを育てるために発生した臓器なので、出産で赤ちゃんが生まれたのち胎盤も役目を終え一緒に出てくるのです。すると、子宮の壁にはこの胎盤の大きさの剥がれ落ちたキズができます(産後、ここからの出血を悪露と言います)。スイカ大の子宮がまた卵大に戻るまで約2ヶ月かかるのですが、もしこの時に縮む力が弱かったり、疲労や貧血などが原因で子宮の戻りが悪いと塞ぎかかったキズからまた出血することもあります。
 産後はバランスよく食べ、休める時にはよく休み、何より周りの家族などに協力してもらいながら子育てに励むことが大事なのです!

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産後に必要なこと

 さて、いよいよ産後に心掛けてもらいたい大事なお話です。この時期は出産で消耗した母体を回復させることと、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をしながら新生活に慣れていくことが大きな課題となります。ママは赤ちゃんを約3kg、50cmになるまで子宮の中で育て産んだのです。その子宮が元に戻るまでにおおよそ2ヶ月かかるので十分に休んでください。さらに出産に伴い出血した上、母乳を作る必要があるため、バランスよくごはんを食べてください。
 そして、この両者を満たすためには第三者のサポートが欠かせません。もし支援が不十分な場合は、お住まいの市町にある「子育て世代包括支援センター」に家事代行やベビーシッターなどのサービスがあるかを尋ね利用するのもいいでしょう。パパが育児休暇を取得できるならば積極的に利用し、赤ちゃんに向き合う時間をぜひ2人で共有してくださいね。

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