朝日新聞阪神支局銃撃事件37年
「私はあなたの意見に反対するが、あなたがそれを主張する権利は命がけで守る」という言葉を残したのはヴォルテールだとも言われているが、これが言論の自由、民主主義の基本だと思う。
反対する意見、反対する思想を暴力で押し潰そうとする行為は政治的な暴力であり、テロリズムである。ジャーナリズムに対する暴力はテロリズムであると言える。フランスの雑誌シャルリエブドに対するテロリズムよりもずっと昔、37年前にこの朝日新聞阪神支局襲撃事件は起きた。
「赤報隊」を名乗るものに、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局の二人の記者が散弾銃で銃撃され、小尻記者が命を奪われた。言論への暴力は、言論の自由を脅かし、言論を萎縮させる。報道の自由も、ジャーナリズムの機能も破壊する。それは私たちの民主主義を破壊する行為である。
私たち国民の代表であり、代表であった安倍晋三元首相が銃撃、暗殺され、岸田文雄首相が襲撃された現在、日本にもこうした民主主義の破壊行為、テロリズムは起こりうる。そのテロリズム、政治的暴力とジャーナリズム、メディアはどう向き合うか、どう対峙するかが問われている。
(※朝日新聞デジタルのコメントプラスで日本大学危機管理学部・福田充研究室のコメント記事を転載したものです。)
この事件は、福田充『新版・メディアとテロリズム』(新潮新書)でも考察、論じています。是非ご覧下さい。
https://www.asahi.com/articles/ASS533SXJS53PQIP001M.html