福田充 Fukuda Mitsuru

日本大学危機管理学部教授。博士(政治学)。地震や津波など自然災害や原発事故などの大規模事故、テロ対策、インテリジェンス、戦争などオールハザードな「危機管理学」の研究、リスク・コミュニケーション研究をしています。元コロンビア大学・戦争と平和研究所客員研究員。

福田充 Fukuda Mitsuru

日本大学危機管理学部教授。博士(政治学)。地震や津波など自然災害や原発事故などの大規模事故、テロ対策、インテリジェンス、戦争などオールハザードな「危機管理学」の研究、リスク・コミュニケーション研究をしています。元コロンビア大学・戦争と平和研究所客員研究員。

最近の記事

馳浩石川県知事と能登半島災害復興

11月14日(木)、日本大学大学院危機管理学研究科・特別講義として、石川県の馳浩知事の講演会「能登半島被災地への対応と復興」を開催しました。セッション①は馳浩知事の講演、セッション②は秦康範教授・福田充を加えて3人のパネルディスカッション。多数の大学院生、学生皆さんはじめ教職員も参加して会場は満員御礼、議論も盛り上がり、大盛況に終わりました。馳浩知事の震災対応の現実と詳細、これからの復旧復興に向けた計画、政策について、大事な話を聞けて、有意義な議論ができました。石川県、能登半

    • 石井紘基殺害事件から22年

       今日10月25日は僕の恩師・ #石井紘基 先生の御命日。石井先生が右翼に暗殺されて22年です。石井先生に黙祷を捧げました。大学時代、社会民主連合の江田五月国会事務所で修行中の僕は江田代表の第一秘書だった石井さんの立候補で選挙区三軒茶屋で活動し、泉房穂さんと選挙運動しました。ポスター貼り、街頭演説、街宣カー。市民の連帯と野党連合を訴えた『つながればパワー』はバイブル。  当選後、民主党議員として「国会の爆弾発言男」の異名とは違い、徹底した現場と資料の調査により社会問題に切り込

      • JCO臨界事故から25年。

        1999年9月30日に発生した東海村JCO臨界事故から今日で25年。当時僕はJCOから15キロの水戸に住んでいました。10キロ圏外でしたがキャンパスで屋内退避。学生対応をしました。その日強い夕立が降りました。その後、臨界事故被災地調査を実施。当時の日本史上最大の原子力災害でした。 その臨界事故の翌月、東京大学大学院の師匠・廣井脩教授とともに立ち上げた日本災害情報学会第一回大会で臨界事故のシンポジウムを開催、登壇し議論しました。ありえない事故、というよりはむしろ人為的な事件、人

        • 石破茂自民党総裁誕生をもたらしたもの。

          自民党は危機モードにシフトした。自民党は以前から解党的危機に直面したとき、自民党を「ぶっ壊す」「洗い直す」という党内改革派、少数派議員が、世論や党員の人気を背景に主導権を握り、選挙で大勝して高支持率を維持して、自民党を蘇生させてきた。これが自民党の危機モードであり、代表的なのは小泉純一郎元首相や三木武夫元首相であるが、今回の現象もこれに近い。党内改革派、党内少数派の石破氏が、自民党の危機を党員支持と世論人気を背景に、自民党を改革するというモデルだ。こうした環境が石破茂新総裁を

          立憲民主・野田佳彦新代表選出の背後にあるもの

          立憲民主党代表に野田元首相が復帰という意思決定の背後には二つの大きな要因がある。一つは次の総選挙が政権交代の最大のチャンスであり、その総選挙で勝ち、政権交代を実現させることが可能な代表が求められたという点である。タイミングと切迫性という要因である。立憲民主党に次世代のリーダーをじっくり丁寧に育てる時間的余裕がなくなった、かつその育成に失敗したという事態がこの結果をもたらす一因となった。 今回の自民党の失策を得たタイミングで、「まず政権交代ありき」が最優先され、本来そうあるべき

          立憲民主・野田佳彦新代表選出の背後にあるもの

          水害と仮設住宅の浸水被害

          避難所や仮設住宅がハザードマップ上で浸水想定区域に建てられ、水害で浸水被害を受けることは、これまでも西日本豪雨水害や東日本豪雨水害で繰り返されてきた。なぜそんなことが起きるのか? それは避難所が地域の事情により、小学校や公民館に自動的に設定されていることや、地震避難を想定して設定されているために、今回のような大雨、ゲリラ豪雨を想定した避難所の設置がなされてこなかったことによる。その結果、大雨洪水ハザードマップ上では危険な場所に避難所が設置されている地域はまだ日本中に残されてい

          水害と仮設住宅の浸水被害

          能登半島豪雨水害から学ぶべきこと

          近年の気候変動と大雨のゲリラ豪雨化により、短時間での被害発生に、気象情報と災害警報、避難指示の発表が住民の対応行動に間に合わなくなっている状況を改善せねばならない。特に夜間、深夜、明け方のゲリラ豪雨には、就寝中の住民には全く対応できず、事前避難のタイミングを逸することになる。気象情報の情報収集、分析、判断といった「災害インテリジェンス」と、災害警報、避難指示を早く発表して住民を事前避難させる「災害リスクコミュニケーション」のスピードアップと強化が必要である。 能登半島地震の被

          能登半島豪雨水害から学ぶべきこと

          「米9.11テロから23年」再掲

           今日9月11日で2001年アメリカ同時多発テロ事件から23年です。今夜も犠牲者に黙祷を捧げます。アルカイダのメンバー19人による4機の旅客機ハイジャック自爆攻撃で2,977人の市民が死亡しました。多くの日本人も犠牲になりした。この日から世界もアメリカも大きく変わり、アフガニスタン戦争、イラク戦争と続く、対テロ戦争の時代が始まりました。  個人的には大学院生時代からテロ対策の研究に関わり、1997年に立ち上げられた警察政策学会・テロ対策研究部会も立ち上げから参画し、鶴木眞部会

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          『稲むらの火』と防災教育

           安政南海地震での和歌山県広川町を舞台にした濱口梧陵の「稲むらの火」。津波防災の社会教育とリスクコミュニケーション、そして地域活性化と観光業を結びつけたモデルは非常に参考になります。濱口梧陵が学んだ江戸の佐久間象山の象山塾、その梧陵の学びと知恵が村人の命を救いました。  梧陵が幕末江戸で学んだ佐久間象山の象山塾、そこから巣立った弟子の勝海舟、吉田松陰、小林寅三郎、山本覚馬。濱口梧陵も学校、耐久社を設立し、津波被災した広村の地域復興と社会教育に当たりました。これこそ災害のリスク

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          関東大震災101年

           101年前の1923年9月1日、東京、神奈川で大地震が発生、この関東大震災で10万人以上が亡くなりました。大地震で発生した火災により死者の多くは焼死でした。昨日は防災の日、ご冥福をお祈りし、思いを新たにしました。関東大震災を振り返るとき同時に、朝鮮人虐殺事件や、社会主義者らが殺害された甘粕事件、亀戸事件も忘れてはならないと思います。  この関東大震災で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマ、流言が発生し、逆上した「自警団」が朝鮮出身の人々を大量殺害した事件。内務省通達、新聞

          ウクライナ軍F-16戦闘機墜落

          数か月から1年をかけて訓練されやっと育ったウクライナ人兵士のF-16戦闘機パイロットの命をウクライナ軍は失った。F-16戦闘機がウクライナ軍に何機供与され配備されたのかは、機密情報として公開されていない。一部メディアでは6機とするものもあったが、この極めて高価で希少な戦闘機の配備数は多くても十数機からそれ以下だろう。その貴重な支援の成果を、実戦投入後早くもウクライナ軍は失った。その支援してくれた各国、世界に対してゼレンスキー大統領はこの墜落の責任を示さなくてはならなかったのだ

          ウクライナ軍F-16戦闘機墜落

          福島第一原発デブリ取出し失敗

          燃料デブリの取り出しが、極めて危険で困難な作業であるからこそ、予定の期間を大幅に遅れながらも慎重に進めてきたことは理解できるが、その結果のデブリ取り出し実行中に、このような作業手順ミスという極めて単純なヒューマンエラーを引き起こすという事態には、この日本に本当に原子力を管理できる能力、技術はあるのか、原発を廃炉にする作業を実行する能力、技術があるのか、という根本的な疑念が日本社会全体、世界に蔓延する。 日本人には危機管理において、「セイフティ」(安全)と、「セキュリティ」(防

          福島第一原発デブリ取出し失敗

          79年目の広島原爆の日

           1945年8月6日のアメリカ軍B29爆撃機からの広島原爆投下から79年です。テレビで平和記念式典を視聴、8時15分に西の空に黙祷しました。  広島市松井市長や広島県知事らのメッセージ。児童代表の二人のメッセージも心がこもっていて胸に刺さりました。被曝者や遺族の声に耳を傾け、私たち一人一人がこの原爆について知り学び語り継がねばなりません。  記念日報道、アニバーサリー・ジャーナリズムと言われても、この8月に原爆や戦争を皆で思い出し語り継ぐ、集合的記憶として、風化させない努力が

          79年目の広島原爆の日

          パリ五輪開会式直前の鉄道破壊

          フランスはかつて統治されたナチスドイツと戦うレジスタンスが鉄道破壊を作戦として多用しており、このような攻撃は決して珍しい現象ではない。 また、戦後の日本でも左翼ゲリラによる破壊行為には、こうした交通機関ライフラインとしての鉄道破壊が採用されてきた。私自身は危機管理学研究者として、こうした交通機関ライフラインへの破壊を「ロジスティクス・テロ」「ライフライン・テロ」と昔命名して警鐘を鳴らしてきた。 抵抗、左翼、ゲリラの手法として定着している鉄道破壊だけに、なぜこのようなパリ五輪開

          パリ五輪開会式直前の鉄道破壊

          パリ五輪開会式の歴史的意義

          壮大な競技場内で演出を施したオリンピック開会式を始めたのはナチスドイツのベルリン五輪であり、そのナチスから蹂躙されたフランスが負の遺産でもあるナチス的五輪開会式を破壊して、競技場から街に出て、セーヌ川や市街地で開かれた五輪開会式をデザインしたのは、歴史的にも政治的にも革新的であり、大きな意義を持つ。 ナチスドイツのベルリン五輪の開会式は、レニ・リーフェンシュタール監督の記録映画『オリンピア』にも残されているようにナチス党大会の形式美を踏襲した一体感ある全体主義的な儀式としてデ

          パリ五輪開会式の歴史的意義

          前大統領テロ警護ミスか?

          容疑者とトランプ前大統領との距離、約130m前後なら、プロのスナイパーなら容易に標的を仕留められる距離である。だからこそ、演説会場からこの距離にある容疑者がいた屋根上は、要人の警護隊、地元警察の連携で事前に確認され、封鎖されなくてはならなかった。それが要人警護の基本であり、警備態勢の構築である。これを危機管理学では「セキュリティ」という。 それができていなかったため、または不十分であったため、今回20歳容疑者はこの場所に入り、トランプ前大統領を銃撃することができた。それを許し

          前大統領テロ警護ミスか?