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無計画の贅沢、予想外のストーリー

特に予定を決めずに「誰かと会う」「どこかへ出かける」——かつてはどこか物足りなく感じていた。

今では、それこそが最も贅沢な時間だと思う。

大人になると、つい「時間を無駄にしたくない」と考えて、細かくスケジュールを組んだり、お店を調べたりしてしまう。

でも、計画のない余白こそが、思いがけない発見や感動を生むこともある。

お互い住んでいる街の中間地点が浜松でした

一時帰国の際、SNSでつながった同業のライターと会うことになった。

場所は浜松。

特に細かい予定は立てず

「浜松なら餃子でしょ」

と、それだけを決めて出かけた。

五味八珍の餃子をいただきました

目星をつけていたお店がランチタイムの大行列だったので、別のお店に行ったし、(ただ、餃子だけは譲れなかった)

静岡発祥のタルト専門店「キルフェボン」のお店の前まで行ったものの、浜松店はテイクアウトのみだった。

事前にリサーチしていれば、避けられた事案なのかもしれないけど、少なくとも私は無計画で適当な感じがなんだかとっても楽しかった。

浜松名物「うなぎパイ」を販売する春華堂の本店

「うなぎパイ」を販売する春華堂の本店を見つけた。

スーパーのお土産売り場の一角に置いてあるうなぎパイしか見たことがなかったので、春華堂のお菓子に囲まれる空間は特別感しかない。


たまたま見かけたカフェのプリンやワッフルがおいしかったり、椅子の座り心地がよかったりすると、事前に計画をしていたら出会えなかった体験だったな、、、と嬉しくなる。


浜松駅前に鎮座する「家康くん」

自由な時間の過ごし方は、一緒にいる人との関係性や距離感にも影響する。

仕事関係者との会食や出張だったらこうはいかない。

「次の予定があるから、そろそろ……」と言う必要もなく、「もう少し歩く?」と曖昧な空気感の中、ゆったりと時間は流れる。


スケジュールや行き先を決めていなかったからこそ生まれる余白。


その中には、予想外の発見や、自然に生まれる会話の流れ、ふとした瞬間の心地よさがある。

シドニーに戻ってしばらくすると、彼女から一冊の本が届いた。

彼女の視点を通して描かれる各国の風景や出来事、思わぬハプニングが、生き生きと綴られている旅エッセイ「往き、綾なす」

エッセイではベトナムやスペイン、宮崎など各地での旅行のひとコマが語られているのだけれど、私は私たちが浜松で過ごした無計画な一日と重ねていた。


浜松の街を歩きながら交わした言葉、おいしい餃子の味やうなぎパイのお店での小さな興奮。


旅の醍醐味は、もしかすると計画の外にこそあるのかもしれない。


そう思いながら、彼女のエッセイをシドニーの自室で静かに読み進めた。

そこには、無計画の贅沢、予想外のストーリーが詰まっていた。


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