放送作家というのは、実は必要のない職業っす
放送作家というのは、実は必要のない職業である。
あ、大前提として、放送作家(古い業界人は構成作家と呼ぶ人も)は業界では〝作家〟と呼ばれるので、ここでも作家で統一する。
その作家だが、必要ない理由は多々ある。番組を立ち上げるわけでもなく、VTRを作るわけでもなく、スポンサーを気にするわけでもなく、編集もMAもキャスティングも制作費の管理も編集所や弁当の手配もロケ場所を探したり交渉したりも、そういう実務的なことはほとんどしない。
実務と言えば、ファミレスかオシャレカフェで会議に出すネタを考えるのと台本を書くことぐらい。
バラエティーでも情報番組でも台本というものが必要になる。出演者の皆さんが言うセリフをあらかじめ書く。
しかし書く内容(構成)は会議で決まり、先人たちが築いた台本のフォーマットがあるのでofficeのWordさえ使えれば誰でも書ける。
特にバラエティの台本なんて、ただの進行表ぐらいのもので、芸人さんが喋る部分はほとんど書かない場合も多いし、例えば~で書いていたとしても、芸人さんがそのまま喋ることはまずない。
極端な話、トーク番組の台本にはトークテーマさえ書いていれば、あとは芸人さんがなんとかしてくれるし、そうなるほうが面白いことが多い。
放送作家が重要性を増すのはバラエティ番組ではある。
企画ネタを毎週の会議に1人3個~5個程度持っていき、深夜バラエティだと3人ほどなので合計10個ほどのネタを基に会議が進められる。
総合演出と呼ばれる最終決定権のある番組の主がどのネタにするか決める。
しかしネタを書いてこないで、会議で喋るだけの放送作家もいて、そういう奴は台本さえも下の作家に書かせて、自分は会議で喋るだけで高額ギャラを持っていく。
総合演出が言ったことに「あ、それ面白いっすね~」と賛同し、どーでもいいことをとにかく饒舌に喋る。
とはいえ、作家が書いてきたネタがそのまま使われることは稀で、総合演出が気になったネタを基に、D(ディレクター)やP(プロデューサー)たちとあーだこーだと話してブラッシュアップしていき、企画ができあがる。
本題。
つまり放送作家がネタを考えなくても、総合演出やプロデューサーやディレクターがネタを考えれば放送作家なんていらないのです。
言ってしまえば、コバンザメの食べカス以下、金魚のフンについてるトイレットペーパー以下の職業。
総合演出も人の子で、自分の面白いと思った企画に自信がないときもある。
そんなときに「ボクも面白いと思いますよ」と言ってくれる人がいると安心する。
その“言ってくれる人”こそ、放送作家の最大の役目だ。
なので、売れている芸人やタレントの幼馴染であったり、偶然大物男性アイドルと同じ年齢で気に入られたり、売れている大物芸人の親戚だったりする人が放送作家として食べていけているのだから、その簡単さがわかると思う。
放送作家のボクがこんな提案をするべきではないが、言ってみよう。
ディレクターやADの中にも作家側の頭脳を持っている人も多々いて、作家に渡しているギャラを上乗せして「企画も考えてきて」と言えば、そう大差ない企画が出てくると思う。
さらに言えば、総合演出や力のあるP(主に局P)の言うことに「そうですよね~」「面白いっすね!」などとか過剰すぎない機嫌を取ることができれば尚良い。
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