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公園。 遊んでいるお父さんと二人の子供。 「もうギブギブ。 ちょっとお父さん休憩させて~。 あと二人とも、そろそろお水飲もう」 子供たちは水筒の水を飲むと、 また二人で遊び始めた。 お父さんは重力に身を任せるよう、 ドカッとベンチに座った。 その隣には年配のサラリーマン。 「お子さんたち、元気ですねえ~」 「ええ。体力が有り余ってます。 もう付いてけないですよ。 自分もあんな頃があったなんて、 今では信じられないです」 「誰だって自分がこ
死んだ婚約者のことなんか、早く忘れてしまうべきだと、わかっていた。 美咲の匂いのするものすべて処分し、そして新しい生活を始めるべきこと。 彼女の両親にも言われたし、式に呼ぶ予定だった友人たちからも、そう言われた。 だけど、たったひとつ、捨てられない物がある。彼女が大事にしていた、一輪のサボテン。 ──サボテンには、心があるんだって…。持ち主が嬉しい時はサボテンも嬉しいし、 悲しい時はサボテンも悲しいの。だから、わたしの心、ここにおいていくね…。 そう言って彼女は、病